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香港の写真家・陳的(チャン・ディック)は、2019年7月から2020年2月にかけて、計画的に街を歩き、街の壁から「浄化」を生き延びたレジスタンスの痕跡を探した。類型的にはまったく異なる壁だが、クローズアップして見ると、ほとんど同じように見えた。彼のレンズの眼差しの下で、私たちは見慣れたキャラクターや運動の象徴的な表情のヒントを発見することができ、人々の苦悩や葛藤の証人となっている。何層にも塗り重ねられたペンキに隠されてはいるが、その下には、抑圧された人々の声がまだ聞こえている。
ディックは、香港の自由のために闘い、犠牲になった人々へのオマージュとしてこの本を制作した。象徴的なオブジェとして構想されたこの本は、彼が大切にしている人々との感情的なつながりや、彼が大切にしている理念の重みをこの本が担ってくれることを願って、細部に至るまで完璧に仕上げることに心血を注いだ。デザイナーの必須アイテムである紙の見本帳のように、丸いフォルムで開くように作られたこの本は、時間が循環していること、最終的に私たちは最初に戻ること、香港と人々の栄光に戻ること、そしてその日、私たちは再びつながることを思い出させてくれる。
― 出版社説明文より
「その昔、この街の通りや路地を歩けば、目もくらむようなグラフィティが目に飛び込んできた。現実への妥協を許さないスローガンが延々と創作され、未来への希望をスプレーで描いた壁画が次々と現れた。
そして、異なる派閥が互いの作品をペンキで覆い続けることで、目に見えない対決を繰り広げ、すべての壁が効果的かつ包括的に覆われ、きれいで完璧な表面を取り戻すまで。全体的な状況は落ち着きを取り戻し、人々の葛藤や落ち着きのなさ、不安は跡形もなく消え去っていた。
先の見えない現実的な世界で生きることは、本当に疲れることだ。しかし、何もかもがわからなくなったとき、人にできることは「忘れないこと」しかない。そんな時、私は香港の様々な地区を歩き回り、ほとんど目に見えない落書きの痕跡を探し、写真に収めた。その落書きは、まるで街の片隅で生き残ろうともがく抑制された力のような雰囲気を発していた。目を凝らせば、抑圧された声や感情、そしてこの街が栄華を誇った時代から没落していく歴史的な軌跡を見ることができると、私は確信している。」
― 陳的(チャン・ディック)
- 判型
- 138 × 150 × 33 mm
- 頁数
- 64頁、掲載作品64点
- 発行年
- 2024
- 言語
- 英語
- エディション
- 300