赤光の庭
赤光、しゃっこう。いつもこの言葉の響きや字の形にかっこよさを感じていました。
モノクロ暗室に灯る赤い光。
「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」のお経の鮮やかでいて静かなイメージ。
それぞれが自らが発する光に輝いていて存在している、そして存在するだけで既に喜ばしいことだと表現できることは、私が写真をやる上での究極の目標です。
道程の途中ではありますが、自分にはっきりさせるためにこのタイトルとしました。
写真としては、近年、言い切るイメージよりも、含みを持った複雑なことがらを一枚に重ねられるような一枚の写真を思い続けてきました。
正方形は肉眼の視覚にはない、カメラアイがもたらすものの見方であるから「自然」な視覚ではない。
イメージを固着させることも、逆に全方位へ解き放つこともできる、魔法陣のようにたくさんの意味を内包できる形だと私は思うのです。
そのことを一番よく表す写真集の形はなんだろうと考えてきましたが、今回はこの形で作りました。
― 野口靖子
- 判型
- 250 × 254 mm
- 頁数
- 288頁、掲載作品146点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2022