出来事と写真
東日本大震災から4年にわたり、写真家 畠山直哉と文筆家 大竹昭子が重ねた対話。
人の力の及ばない出来事に写真家はどのように巻き込まれ、
未来にどのような希望を見出したのか。
都市と自然と人間との関係を写真に表象してきた畠山直哉は、東日本大震災で故郷 陸前高田が被災したことを契機に、その圧倒的な「出来事」を必然的にテーマとするようになった。ふるさとに通い、刻々と移りゆく現実を写真に撮りながら、写真家は考え続け、自身も変化していった。
2011年11月から始まった大竹昭子との対話は実に4年にわたり、起伏を孕んだ。偶発的な出来事と人間と写真----さまざまな問いを通じ、時間を重ね、その関わりが浮かび上がる。そして、写真とは何かという通底する問いかけは自ずとジャンルを超える力を帯び、アートや歴史、種々の事象へと話題は及んだ。
世界の混沌に直面しながら生じる問い、切実に差し出される言葉。『出来事と写真』は、終わりのない未来への対話である。
(目次より抜粋)
「ナチュラル・ストーリーズ」展のこと
自分の身を差し出す覚悟で
破壊されたふるさとにカメラを向ける瞬間の感情
人間は人間を超えたものがないと元気が出ない
写真に倫理はない
出来事に巻き込まれながらよく見てみたい
写真には撮影者の身を現場から引きはがす性質がある
写真が目指すアンチ・オタクな生き方
個人の表現という発想を捨てる
被災地の写真を美しいと感じてしまう心にどう始末をつけるか
写真は未来のために撮られる
― 出版社説明文より
- 判型
- 188 x 128 mm
- 頁数
- 185頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2016
- 言語
- 日本語