shashasha 写々者

天孫降臨の地と呼ばれる宮崎県西諸県郡高原町祓川を舞台に、毎年十二月の第二土曜日、日本国内でも類を見ない真剣を用いた荒舞が夜通し演じられる。霧島信仰と深い関係性を持つ伝承文化で、信徒に限って舞うことが許される勇壮な剣舞である。

家族と言える友人を通じ、幸運にも祓川神楽と出会った。初めて訪れたその地で暖かく迎い入れられ、日本神話における神と人との社会性に触れた、前夜の内祭から本祭の二日間。

凍える寒さと睡魔に襲われながら、気を抜けば、大切な一瞬を見逃す。時間の経過を忘れ遂に朝を迎えた時の喜びと寂しさ。文化と自然に向かい合い、新しい価値と大切なものを学んだ貴重な体験。その長くて美しい夜は忘れない。