手中一滴
山本昌男は長年のキャリアのなかで、身近な動物や植物、風景等、日常誰もが目にする自然のありさまや、見過ごされそうな小さなものを大切にすくいあげる作品を発表してきました。それらの写真は、超絶的といわれるモノクロ技法により、繊細な息づかいと緊張感を孕んだ美へと醸造されています。
「手中一滴」は、日本の伝統美ともいえる盆栽を撮影したシリーズとなり、小さな鉢のなかで、人の手と水によってのみ生きる盆栽を、八ヶ岳や富士山麓の雄大な風景の中に置いた写真です。タイトル「手中一滴」とは、山本による造語で、「一滴の露にも宇宙が宿る」という禅の教えに基づいています。山本の写真も盆栽も、人が自然と向き合う中に、人の手から絞り出されるように生まれた作品です。そこには人と作品と自然が織りなす究極の美を追求した世界があります。そして、小さな盆栽が象徴する小宇宙に大宇宙が凝縮された世界とその本質を「手中一滴」という独自の言葉に表したのです。
本写真集は、製本所・博勝堂の職人たちによって一冊一冊和綴じで製本され、特製のスリーブケースに納められています。日本の美意識を凝縮した「盆栽」を山本が写真で表現した作品を、日本で昔からある製本技術とともに現代的なデザインや素材で写真集というかたちに仕上げました。
― 出版社説明文より
- 判型
- 240 × 210 mm
- 頁数
- 66頁
- 製本
- ソフトカバー、和綴じ(全頁袋とじ)、特製ケース付
- 発行年
- 2019年
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-909442-10-9