Aya
イギリス人フォトグラファー、フランチェスカ・アレン(Francesca Allen)の作品集。東京に暮らす若い日本人女性アヤこと、ミュージシャンのアヤ・グルーミー(Aya Gloomy)。作者がアヤと共に過ごした濃密な時間を綴ったこのシリーズは、同じ言葉を話さない二人が写真を唯一のコミュニケーションツールとして友情を育んでいった宝物のような日々の記録である。
「 アヤと初めて出会ったのは、東京の郊外にある小さなアパート。上の階にはアヤの祖母が住んでいて、時々バルコニーからアヤにお菓子を投げてくれる。ありとあらゆるものが限界まで詰め込まれたアヤの家。あちこちに汚れた食器や洋服がうず高く積み上げられていた。」
人生で最高に幸せな一カ月を過ごした二人の時間は、疲労の期間でもあった。作者とアヤは何をするのも一緒で、撮影は二の次となっていく。互いを自分の友人に紹介し、夜中まで遊んでは終電を逃し、友人の家に転がり込む。服を脱ぐ時、アヤは恥ずかしがってクスクスと笑う。二人だけの親密な時間を人の目に晒し、その為にありのままの自分を見せるなど誰にでもできることではない。作者のイメージには、初めての体験を嬉々として楽しむ二人の女性の脆さやはかなさが写し出されている。それぞれの人生の似たような地点で出会った1歳違いの二人は、同じようなことを感じているのかもしれない。二人の関係が深まるにつれて、若い女性として花開くという、デリケートであり刺激的な人生の一時期がクローズアップされていく。親しみを込めた視線をアヤに向ける作者は、アヤから溢れんばかりのエネルギーを受け、強さと弱さの二つの面を浮き彫りにする。こうして作品を作る中で、二人の心が結びつき友情が育まれた。アヤは作者が描き出した「テーマ」であるが、アヤのイメージと二人の間に生まれた関係性というレイヤーを通して見ると、表現する側とされる側との区別は希薄になり、観る者は作者のことも少し理解したような気持ちになるだろう。
by Francesca Allen
― ディストリビューター説明文より
- 判型
- 200 x 255 mm
- 頁数
- 52頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2018
- エディション
- 500