1/1

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安村崇

出版社:Osiris

《1/1》は、《日常らしさ》《「自然」をなぞる》《せめて惑星らしく》に続く安村崇の4作目のシリーズとなる。撮影は2008年に開始され、これまで個展やグループ展で発表しつつも、全国をめぐる撮影は2015年まで続き、多数の未発表作品を含む111点が本書にまとめられた。

《日常らしさ》において、中心的な被写体と認識されるみかんやショートケーキだけでなく、安村の関心とこだわりは、壁や床、テーブルクロスやカーテンなど主役の置かれた環境――カメラがとらえたあらゆる細部に向けられていたが、《1/1》は、その作業の延長線上にあると言える。

2014年にGallery αM で開催された《1/1》の個展の際、安村は《日常らしさ》の頃から背景を気にしていたことを明かし、そのきっかけは、牛腸茂雄の『Self and Others』の写真に「背景」に対する写真家の強い意識を感じたことによると語っている。安村の背景へのこだわりは、《1/1》に至って、「背景を画面の外に追い出す」企てに発展していった。

「……《1/1》のグラフィカルな見かけは、まるで主役となる者・物を欠いた背景だけで成立しているかのようである。が、安村のコンセプトはまさに「写真から背景をなくすこと」であった。……それは人間による前景と背景の区別や意味づけを消去して、写真全体を奥行のないフラットなレイヤーに還元することを意味する」(本書収録、清水穣エッセイより)。

個々の写真の撮影地は、大都市を意識的に避けながら、北海道から九州までの広範囲におよび、地方の公園、運動施設、市民センター、港湾周辺など、主に80年代以降に建設された公共施設が選ばれている。《1/1》は、作家の意図を超えて、思いもよらぬ形で提示されたバブル期の日本のドキュメンタリーであるのかもしれない。

抽象絵画的にすら見える色彩や構図に惑わされてはいけない。写真ならではのディテールを持つ1点1点の作品は、それぞれ「日付」と「場所」を持ち、被写体の前には4×5カメラの三脚を立てた写真家がいた。

― 出版社説明文より

キーワード: ミニマリズム 抽象

$63.49

税込

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判型
280 x 297 mm
頁数
132頁、掲載作品111点
製本
ハードカバー
発行年
2017
言語
英語、日本語
ISBN
978-4-905254-06-5

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