shashasha 写々者

本書『The Guesthouse of Cascades（滝のゲストハウス）』の話は、Zhangの少女時代である90年代に遡る。
それは、とある山小屋から始まった。
あらゆる微かな痕跡で、読者を現実と錯覚の間にある旅へと導く。過去と現在が絡み合い、今までの経験の隙間に潜む”獣”がゆっくりとイメージを超えて現れてくるのだ。
この本の各ページは、時間の流れに似ている。それは、折りたたみ／広げる、重ねる／話す、（糸で）綴じる／（紙を）切るといったことによって、流体構造を有するモノを作り上げているのだ。
ストレートな写真から、実験的に加工してよくわからなくなった写真、写真を素材として作り上げた3D模型に、アニメーションまで、この本は単なるZhangの既存の作品を紹介するものではなく、イメージがもつ不思議な力から作り上げた新しい作品群をまとめた一冊になっている。
本書のタイトルでもある「滝」はそこに流れる水が崖や浅瀬を形づくるように、イメージたちは物語をつくり上げていくのだ。