Forest
昼と夜。
その間に、目が欺かれるようにして世界の凹凸が消失する。
そこに場は生じて、世界が転じる。あちらがこちらで、こちらがあちらへ。
暗闇を克服した文明は、我々の生活安全にした。
そして、神秘的な体験にも人々は安全を要求する。当然の成り行きである。
命の危険を晒してまで神に触れようとする精神性はもはや、人々にとっては
懐かしむよりも遠く、おとぎの噺となって久しい。
しかし、なぜ我々は森を眺めるために出かけるのだろうか。
なぜ、雄大な古の森に足を踏みいれることを夢見るのだろうか。
写真は目の要求に応じるために発生した。
欲求というのが正しいかもしれない。
そして、目はいつもあちらとこちらの間にあるものを欲求している。
写真はこちらをあちらへ運んでいくための装置なのだ。
像を現し、あちらに行ったものを眺めようと意気込み臨むが、そこにはもう
それはない。
あるのは、凹凸の消失した世界の佇みである。
写真家である私は、安全に、目の欲求に応えるのである。
― アーティストステートメントより
- 判型
- 170 × 235 mm
- 頁数
- 24頁、掲載作品20点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2019
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 100