shashasha 写々者

1997年、2,202ヶ所にあったソウルの銭湯は2018年現在967ヶ所に減ってしまいました。そのほとんどは廃業または大企業へ商業化され、30年以上続く銭湯は132ヶ所を残すのみとなっています。どこの都市も同じように、ソウルもまた都市開発が続き、暮らしに根付いていた昔ながらの趣が消えているような気がします。町の人々が体を休め癒される場所、コミュニケーションの場でもあった銭湯も例外ではないでしょう。銭湯の代わりに家でお風呂に入るようになり、チムジルバンや健康ランドに様変わりするうちに、小さな銭湯は段々と町からその姿を消しています。

暮らしの中で、私たちと時代の変化を共に過ごしてきた銭湯を探し、いつか消えてしまうかもしれないその場所を記録することが必要だと考えました。古い銭湯を見つめ直し、生き残ってきた現在を記録すること。そのためソウルで30年以上の歴史を持つ銭湯を探し、その場所のストーリーをフレームに収めることにしました。1967年に開業した銭湯から竹の木に囲まれた銭湯、毎年祭りを開催する銭湯、老夫婦が若い頃から一緒にやってきた銭湯、お風呂の中からラジオが流れる銭湯、ご主人が何度も変わりまもなく廃業を迎える銭湯、ドアを固く閉ざしこれ以上客を迎えることのない銭湯。カメラを持って銭湯に入ることは思っていた以上に大変でしたが、記録を残すという意味に賛同してくださった方々に感謝の気持ちをお伝えします。

パク·ヒョンソン（Park Hyunsung）
桂園芸術大学写真学科卒業。家族を無くした後、消えていくものや時間が経つと過去になってしまう全ての瞬間を収集。誰にも注目されず忘れさられていくもの、それらが消えて過去になってしまう前に、その輝く姿をフレームに収める。