VITREOUS CHINA
アメリカ人フォトグラファー、ロン・ジュード(Ron Jude)の作品集。本作は、主にアメリカ中西部に位置する軽工業地帯の都市を記録した写真のアーカイヴで構成されている。工業そのものの詳細いうよりは、巨大トレーラー用駐車場、通用口といったような一見あまり重要でないような周辺の風景を写し出している。ヴィトリアス・チャイナ(トイレや洗面台などで用いられる陶器のエナメルコーティング)工場で窯のオペレーターとして最初はアメリカ中西部、後に南カリフォルニア働いていたロン・ジュードの祖父が、空想したかもしれない ーもしくはその長い年月をぼんやりと思い起こさせる、そんな情景である。 雰囲気だけに浸っているような単なる代替的な経験として写し出した写真は物語として不十分であるが、ジュードはその代わりに、何か超越した主観的な瞬間を捉えながらも、説明的かつ、あたかも自分の経験ような痕跡を用いて描写している。 ヴィトリアス・チャイナの表面のエナメル質な「美しさ」と、トイレや洗面台で使われている「実用的な機能性」との間に生じる逆説的な関係性のように、アメリカ人フォトグラファーのマイク・スラック(Mike Slack)によって添えられた文章と織り混ぜられたジュードの写真は、目に見えない記憶の数々や物語的な記号化と、物理的な粗さが目立つ何てことの無い場所、そのどちらもを含めた一つの「体験」を引き出そうとしている。
― ディストリビューター説明文より
- 判型
- 200 x 160 mm
- 頁数
- 54頁
- 製本
- ソフトカバー、ボックスケース
- 発行年
- 2016
- 言語
- 英語
- エディション
- 357