Venus & Mercury
オランダの写真家ヴィヴィアン・サッセンが、伝説的なブックデザイナー、イルマ・ボームとコラボレーションし、ヴェルサイユ宮殿の斬新で先鋭的なヴィジョンを提案する。
歴史と豪華さ、そして政治的権力に彩られたフランスのヴェルサイユ宮殿は、長い間、一般の人々や多くの高名な写真家たちの想像力をかきたててきた。2018年、サッセンはヴェルサイユ宮殿に招かれ、その広大な敷地の至るところで写真シリーズを制作した。6カ月間、彼女は自由な裁量権を与えられ、しばしば公式時間外の建物が空いた時間に歩き回り、宮殿の贅沢な庭園や金色に輝くバロック様式のインテリア、さらにはマリー・アントワネットの私信に至るまで写真に収めた。
『Venus & Mercury』は、これまで見たことのないヴェルサイユの姿である。サッセンは、宮殿にある多くの大理石の彫像に表された身体に惹かれ、シュルレアリスム芸術の伝統やハンス・ベルメールなどの作品を想起させる、セクシュアリティやジェンダーの概念を弄ぶハイブリッドな造形を創り出した。100点以上の写真を収録した本書には、鮮やかな色彩と抽象的なフォルムで遊ぶ、サッセンの驚くべき、顔料を散りばめたフォトモンタージュが溢れている。また、宮殿の壁の向こうの町で生まれ育った女性たちが、宮殿の大広間で撮影した現代の主人公として、本書の至る所に登場している。
サッセンの依頼で制作された本書収録のMarjolijn van Heemstraの詩は、宮廷社会における陰謀の歴史を暗示している。企画・デザインは、ブックデザイナーのイルマ・ボームが担当し、2枚組の表紙が特注のボックスに収められ、サッセンがひとつひとつ手形のペインティングを描いたユニークなアートオブジェとも言えるだろう。
― 出版社説明文より
- 判型
- 298 × 241 mm
- 頁数
- 172頁、掲載作品104点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語
- エディション
- 1000
- ISBN
- 978-1-683952-43-5