三つ目の部屋へ
禅フォトギャラリーでの初個展となった前作『泳ぐ身体』で、光と影の隙間を生きる人間性の揺らぎを表現した原田は、今作の『三つ目の部屋へ』で人間の内側に潜む意識にフォーカスをあてた。その曖昧で揺らぎやすい明滅を、古典的な写真技法「レイヨグラフ」とストリートフォトグラフを混ぜ合わせ、色彩際立つカラー写真作品として制作しました。「身体を動かす-意識する-無意識になる」という誰もが日常で身に付けている力の繋がりを、目に見えない1つの物語として所有していることを示唆しています。
三つ目の部屋へ
この写真群は、閉ざされた空想の中で三つの部屋を移動していく
ある人の運動と思考の痕跡である。
三つの部屋とは以下三つの目で構成された、
奇妙で閑散とした空間のことである。
一つ目の部屋:眼
光で色彩を感知する目
二つ目の部屋:幻、印象
眼球で見たものが時間の経過で摩擦し、
意識の中を眺めている目
三つ目の部屋:不可知
まだ何も見えていない、いつか見えるかもしれないことを想像し、
無を見つめようとする目
そこは、青いと思えば、青く、赤いと思えば、赤い現在が生まれる、ガラスのような架空の部屋であった。
この作品は、現実に少し似た物語の中から、抜き出された光と感覚で描かれた絵本のような世界の一端である。
― 原田直宏
― 出版社説明文より
- 判型
- 297 x 210 mm
- 頁数
- 70頁、掲載作品30点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2018
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 300
- ISBN
- 978-4-905453-68-0