shashasha 写々者

沈昭良の豊かで繊細なドキュメンタリー写真のスタイル、写真集制作における謹厳な態度は、多くの同業者・専門家に高く評価されている。現実環境に置ける社会的ランドマークや人々の置かれた人生の境遇について、写真を通してさらに一歩踏み込んだ問題意識を提示し、思考と対話の道筋を組み立てることを目指す。

沈昭良（シェン・ジャオリャン）は台湾を代表する写真家。彼は2011年の「STAGE」、2013年の「SINGERS & STAGES」と台湾全土の地域の祭りや冠婚葬祭のイベントに焦点を当て写真集を出版してきた。本書の「台灣綜藝團・TAIWANESE VAUDEVILLE TROUPES」はその続編とも呼べるような長編写真集である。台湾にはさまざまな演芸興行団体があり、1970年代前後から、歌やダンスなどの公演を中心に台湾独自の移動式興行団体として冠婚葬祭の場において活躍してきた。沈昭良は、概括的であると同時に、マクロ的な視点とミクロ的な視点を兼ね備え、これらの非日常で繰り広げられる演芸の世界と台湾の民衆社会の関係性を鮮明に写真の中で表現した。ハイスクリーン印刷によって全ページ、モノクロでプリントされている。