Stop Tanks With Books
ウクライナ・キエフを拠点に活動するイギリス人フォトグラファー、マーク・ネヴィル(Mark Neville)の作品集。
ソーシャルドキュメンタリー写真家として名を馳せる作者は、2021年にロンドンの家とスタジオを離れ、ウクライナのキエフで暮らし始めた。国境に10万人のロシア軍が押し寄せ、いつ侵攻が始まるかとウクライナ全体が戦々恐々とする中、今こそウクライナを支援し、ロシア軍の侵攻を喰い止めようと世界中の人々に呼びかける写真集出版プロジェクト『Stop Tanks With Books』を始動した。
ウクライナ南部オデッサのビーチにやってきた観光客、ハンガリーとの国境地帯にある少数民族ロマのコミュニティ、教会やナイトクラブを訪れるキエフの人々、そして紛争の最前線であるウクライナ東部に生きる市民と兵士の両方を被写体とし、作者は2015年からウクライナの日常を継続的に記録してきた。イギリス人キュレーター、ライター、そしてアーティストでもあるデヴィッド・カンパニー(David Campany)が編集を手掛けた本書は、作者による写真80点に加え、ウクライナ人小説家のリューバ・ヤキムチュク(Lyuba Yakimchuk)による紛争をテーマにした短編、ベルリンの東欧研究センター(Centre of Eastern European Studies)による紛争のため避難民とならざるをえなかった250万人のウクライナ人についてのリサーチ、世界中の人々に行動を起こすよう呼びかける文章などを収録。
作者はアーティスト兼アクティビストとしての独自の立場を活用し、政策立案者から、オピニオンメーカー、各国大使、国会議員、国際的なコミュニティのメンバーやメディア、さらには和平交渉に直接関係する人々まで、ウクライナを巡る状況を改善する上で戦略的にこの重要人物に750部の写真集を無料で送付した。このプロジェクトの狙いは、この本を受け取った人々が実際に終戦につながる行動を起こすことによって、ウクライナ東部での虐殺に終止符をうち、占領状態が続くドンバス地方やクリミア半島からロシア軍を撤退させることである。またこれに加え、世界各地で一般流通用として初版750部が販売された。
「ウクライナ国内では緊張感が非常に高まっている。首都には爆撃シェルターが作られ、非常時に備えた訓練が日々行われている。残って戦うべきか?それともウクライナを捨てて逃げるべきか?ロシアによるいわれのない軍事侵攻の危機にさらされているのがキエフではなく、ストックホルムやロンドン、パリ、ニューヨークだとすれば、国際社会はどう反応するだろうか?我々の本は、国際社会に向けた祈りであり、しなければならない嘆願なのだ。プーチンが攻めてくる前に本を印刷・配布するために、Nazraeli Pressと私はあらゆる手段を講じた。」
― マーク・ネヴィル
ウクライナ侵略後に出版されたこの第二版には、作者の最新のアーティスト・ステートメントと地図が掲載されている。
― ディストリビューター説明文より
- 判型
- 320 × 300 mm
- 頁数
- 180頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語
- ISBN
- 978-1-59005-564-9