Photographs and Stories
アメリカ在住のイギリス人フォトグラファー、マイケル・ケンナ(Michael Kenna)の作品集。写真家としての活動50周年を記念する一冊である本書は、日本製の嵩高紙に印刷され、紺色にあつらえたクロス張りのハードカバーで綴じた絢爛で新しいモノグラフに仕上がっている。「センター・フォー・フォトグラフィック・アート(Center for Photographic Art)」の協力のもと、カリフォルニアのカーメルに位置する同センターの歴史的なエキシビション・スペースにて2023年11月から開催される巡回展に伴い刊行された。
「バンベリー美術学校(Banbury School of Art)」に入学した1973年から、作者が一年ごとに一枚の写真を選出。「Photographs(写真)」の章に続く「Stories(物語)」では、作者が写真ごとに背景を説明し、当時の自身の人生との関係性を考察する。
作者は、その世代における最も影響力のある風景写真家であると充分に明言できるであろう。夜明けや夜中に撮られた作品が多く、自然の地形における束の間の大気の状態と、人の手によって作られた構造物や彫刻的かつ大型の物体の相互作用を主に注目してきた。すでに90冊以上もの本やカタログを世に出しており、その手腕が生み出す精妙な銀塩写真はいままでにワシントンの「ナショナル・ギャラリー(The National Gallery)」、上海の「上海美術館(The Shanghai Art Museum)」、ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート博物館(The Victoria and Albert Museum)」など世界各地で展示され、その地の常設コレクションの一部として加えられている。2022年には、フランス文化省から芸術・文化のオフィシエ章を授与された。
「この本は、見知らぬ場所と見知った場所どちらにも誘い、雄大な静けさに満ちた黒と白の場面の間をうねり進む旅路である。このイメージ群を眺めることは大きな喜びである。結果としてすべてはうまくいくのかもしれないし、世界はそんなに悪いところではないし、魔法はまだ存在するのだと感じさせるのだ。彼の写真は安心感を与え、私としては、マイケル・ケンナが光を見続け、その視野を記録し続けた半世紀に対して、感謝したいとまで思うのである」
― アン・ジャストラブ(Ann Jastrab /センター・フォー・フォトグラフィック・アート エグゼクティブ・ディレクター)の序文より
- 判型
- 330 × 292 mm
- 頁数
- 106頁、掲載作品51点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- ISBN
- 978-1-59005-593-9