Melody of Light
『Melody of Light』は、作家がポーランドのヴロツワフに6週間滞在し、様々な場所や人、テーマや文脈を自由に行き来した結果、生まれたものだ。
これまでの写真集と同様、野村恵子は「はかなさ」「自然」「身体」「魂の旅」「水の循環」といったトピックを探求している。フィルムでもデジタルでも、レンズの力を借りて、時間や場所から切り離されたように進む人生を写し出す。今回の写真集では、2つの都市の写真を並べ、ミックスしている。東京とヴロツワフの写真をつなぐ要素は「光」。風景やポートレートを独特の非現実的なものにするのは光であり、両都市の空間はまるでパッチワークのようなメトロポリスに融合しているようだ。写真に漂う眠気を誘うようなムードは、まるで時間が止まってしまったかのような印象を与える。写真には、作家が書いた短い詩的なエッセイが添えられている。
「手に掬えばこぼれ落ちていく光。
鼓動する赤い水、それは流れ、いつか海へ、そして天へと続く刹那という永遠の光景」日本人の写真家として、ポ-ランドのヴロツワフに2021年の秋と2022年の夏にしばらく滞在するという機会に恵まれた。
河が流れ、緑も豊かな都市のヴロツワフの街は、どこか東京の街にも少し似ていると感じた。
どの街にも同じように朝の光が訪れ、やがて太陽は沈み、光と闇は共にあり、ただ時により入れ代わる。
それは、けしてとどまることなく時間に流され、いつか訪れる死と共に生きる、私たちの人生のようだ。
そこにあったはずの光。
それは写真そのものだ。」― 野村恵子
- 判型
- 265 × 180 mm
- 頁数
- 76頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語、日本語