shashasha 写々者

本書『Left, Right』は、そのタイトルが示すように、左から右へ、あるいは右から左へ読むことができる、鏡のような構造の本である。

アーティストの蔡東東は、所蔵する約60万点の無名写真の中から、時代、被写体の衣装や化粧、写真の裏に書かれたメモなどに基づいて目録を作成。そして、2つの異なる歴史的時代、特に中華人民共和国建国前後から撮影された、年齢、顔の骨格、姿勢が似ている女性たちのポートレートを対にして、左右のデザインで比較する。右側のページは1912年から1949年の中華民国時代に撮影されたもので、左側のページは1949年から1978年の中華人民共和国建国から改革開放の時代に撮影されたものである。

蔡東東の作品は長い間イメージに支えられてきたが、単純に写真と定義することはできない。彼は常に「写真を撮る」ことと「写真を作る」ことの間を巧みに行き来し、既存の素材を自らの目的のために採用するだけでなく、その上に新たなイメージの物語を創造し構築してきた。その制作過程において、既成の要素を破壊、解体、統合することで、イメージそのものが二次元の平面を突き破り、それ自身の言語に隠された矛盾や曖昧さを直接指し示すことがしばしばある。

69組138枚の中国人女性の写真は、かつて権力の物語から離れ、私的な空間を漂っていた。それらはまるで川の2つの流れのように流れ、交錯し、絶えず多声的でテクスト間の会話を刺激し、2つの異なる時代の物語を共に進めながら、イメージを通して民衆史の石を築こうと努力している。