京都抄景
本書のために撮影された京都の作品は、息を呑むような美しい風景、見事な簡素さと抑制の効いた建築物、そしてそれぞれの声の響きは異なっているが、フォルムという共通の言語で対話しているような自然と人工物の断片などが、写真を構成する光と影の束の間の戯れの中で、画像化され、永久保存されたものである。なぜなら、京都と言う町は、正木博の作品がその累積された全体像と絶妙な細部表現で明らかにしたように、囚われることが栄誉でもある歴史、記憶、美が織りなす捕獲網に惹きつけられた、何世代にもわたる人々の様々な思索と内省の支配のもとで、時と光が緩やかに流れている場所だからである。
― サイモン・ベーカー「哲学の道にて」より抜粋
- 判型
- 285 × 250 mm
- 頁数
- 120頁、掲載作品79点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2015
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-89273-101-3