雲隠れ温泉行
「20代後半の一時期,私には俗世間からの失踪願望があった。」 ー後書きより抜粋
誰しもが自分の行く末の頂点と限界をぼんやりと思い描いてしまう30歳を前にして、写真家村上は温泉へと逃避した。光とそこにできる影、そして吹きあがり立ちこめる湯気。高感度の粗い粒子で描かれた温泉地は、この世から遠く離れた彼岸の様相を呈している。そこは村上が逃避の末に迷い込んだ、自らの鬱屈が投影された非現実の世界である。
2007年に青幻舎から出版された『雲隠れ温泉行き』から、未公開のカットを編み込み編集し直し、布貼りの装丁で装いを新たにしました。この本を手にとってもらえれば、なぜroshin booksがこの作品を出版したのかということを理解してもらえると信じています。
- 判型
- 225 x 270 x 15 mm
- 頁数
- 104頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2015
- 限定700部