German Balcony
2017年夏、チェン夫妻はドイツ・カールスルーエのノルドシュタット地区に引っ越してきた。彼らが住んでいる建物は、周囲のほぼ同じ外観の建物50棟とともに、第二次世界大戦後にカールスルーエにできた米軍の新軍事基地「ポール・リヴェール村」に属していた。ドイツの他の米軍基地と同様に、ポール・リヴェール村は「小さなアメリカ」のように設備が整っており、自己完結している。ここに駐留していた米軍は、現地のドイツ社会にさまざまな面で影響を与えてきた。
国際情勢の変化は、在独米軍と住民との関係にも影響を与えた。冷戦終結後、米軍はカールスルーエから撤退し、兵舎とそれを支える施設(軍用空港、学校、その他のインフラ)をドイツに引き渡した。その後、この地域は新しい都市地区に生まれ変わり、兵舎の建物は拡張され、階数を増やしバルコニーを備えた民間人のための住宅となり、空港は自然保護区として設定された。米軍は完全に撤退したが、50年間のドイツ社会への影響力は衰えることはなかった。
新たな居住者として、チェン一家は自らの住まいを通して、生活空間や都市空間の機能的な変容を体験し、実践した。本作『German Balcony』では、チェンは地元の公文書館から在カールスルーエ米軍に関する資料を探しながら、この地域の日常生活を記録し、それらを組み合わせた。異なる歴史的条件のもとで、異なる集団や文化の共存は、似たり寄ったりの困難に直面する。このようにして、作品は過去と現在、公私の境界を曖昧にし、現在の日常生活をこの歴史的遺物の中に再展開させ、新たな集合的記憶を生み出す方法を示しているのだ。
― ディストリビューター説明文より
- 判型
- 320 × 240 mm
- 頁数
- 62頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2020
- 言語
- 英語、中国語