Frozen are the Winds of Time (A)
近年急速に発展を遂げる故郷を舞台に運命に翻弄された家族の肖像を過去・現在・未来を交差する光によって描き出す中国山西省出身の若手写真家・王露の初作品集。
本作は、王が長年避け続けてきた故郷である中国の地方都市・太原市と、そこで暮らす自身の家族―父と母に対峙し、撮影した作品です。本作の舞台である太原は、近年の急速な都市開発推進により、高層ビルや高架橋が乱立し、街は綺麗に整備され、王が帰省するたびに見慣れた場所は消失していきました。一方で、新しい高層ビルで暮らす、現在の王の父と母にもレンズは向けられます。王が12歳の時、父は交通事故で脳に重い障害を負いました。カメラを向ける娘のことを理解できず拒絶のポーズをとる父、事故直後の苦悩が書かれた母の日記、事故の前に撮影された家族写真などのイメージが並び、いびつな家族の様相を呈示します。
“時間の風”にさらされた街と、話し方や行動様式は以前からあまり変化しない市民たちのコントラストを背景に、そして事故の日を境に時間の流れが変わってしまった一つの家族の肖像が、過去、現在、未来から照射されます。ある一つの家族と都市を、透明感のある写真でありのままに捉えた作品は、国境や文化的背景を越え、多くの人々の無意識部に訴えかけるでしょう。
写真家の岩根愛氏、映画監督の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)氏の寄稿文を収録。
町口覚氏による造本で、クロス装上製本。表紙は2種類です。
― 出版社説明文より
- 判型
- 256 × 227 mm
- 頁数
- 184頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語、日本語、中国語
- ISBN
- 978-4-908955-18-1