Fragments of the place 2017-2019
篠田優は日本で活動している写真家です。太平洋戦争時代に建設された遺構や、取り壊しを控えた公共建築などを主な被写体として、大判フィルムカメラや4K動画による精緻な描写によって、記録性と表現性を兼ね備えた写真・映像作品を制作しています。2013年の塩竈フォトフェスティバル写真賞大賞を受賞し、その副賞として2015年には写真集『Medium』を発行しました。それに伴い東京を皮切りに、関西や東北、海外での展示活動も精力的に行っています。そして今回、喫水線より刊行する『Fragments of the place 2017-2019』は製作開始から発表までおよそ7年をかけた篠田の新作写真集です。
本作は、篠田が2016年に旧長野県信濃美術館の閉館に際した企画展に招聘されたことをきっかけに、その閉館から長野県立美術館の新設までを追い、映像と写真の両面から撮影を行ったものです。解体されゆく建築の姿を克明な像としてとどめ、ときに見過ごされがちな細部へと視線を注ぐその実践は、記録の遂行と共に記録を問うような営みでもあります。
本書籍の構成は、読者が篠田のまなざしの位置に立ち、あたかもその過程を追体験するかのような、クロノロジカルなものになっています。またそのような時間の進行は、建築を取り囲む草木や空、そこに住まう鳥や虫の四季折々の姿と相まって、長野県信濃美術館をある土地に息づいていたひとつの存在として、読者に認識させる一助ともなり得るものです。
なお、写真集末尾には作家本人によるテキストに加え、現在長野県立美術館で学芸員をつとめる松井正氏による寄稿文が収録されています。
― 出版社説明文より
- 判型
- 290 × 200 mm
- 頁数
- 184頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2024
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 300
- ISBN
- 978-4-9912632-2-4