フォルモサ
例えば、握ったリンゴ一つ。一口かじって果肉が露になると妙に生々しく、そこが酸化して変色すると少し哀れにも思う。衣裳を脱がされた人形、引っ越しで粗大ゴミとして出された布団やタンス。内部が外へと発表されると、見てはいけない現実と生活に「ハッ」とする。それは、不意を突かれて語られてしまった見知らぬ他人からの告白だ。
この写真集で、何よりも露なのは、剥き出しの経済だ。一枚一枚が、その告白に思える。特別でも特殊でもない。だから一つ一つの告白に「ハッ」とするのだ。
― 内藤裕敬、「麗しき告白」より抜粋
*「フォルモサ」とは台湾の別称で、ポルトガル語で「麗しい」という意味を持つ。
- 判型
- 206 x 305 mm
- 頁数
- 72頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2016