shashasha 写々者

Pixy Liao（ピクシー・リャオ）は、中国に生まれ育った女性として、自分より年上、もしくは自分よりも“大人”な男性しか愛せないものだと思っていました。その存在こそが、自分を守ってくれ、助けてくれるものであるからです。しかし、現在のリャオの彼氏はモロという５歳も年下の日本人で、自分が今まで抱いていた「関係性」の概念が完全に変わったように彼女は感じました。自分がもっと“権限”や“力”がある立場になったのです。彼女の男の友人の中には、自分より若かったり、力が弱いような相手を選ぶことを普通とし、そのような考え方で女が彼氏を選べるのかどうか疑問に思っている人もいましたが、「ああ、それはまさしく今私がしていることだ！」と強く感じたのでした。

このことをきっかけに、リャオは今の自分の「関係性」について実験的に作品制作を始めました。すべてリャオが状況をセッティングし、リャオとモロが演じるように写真撮影をしました。この写真は異性間の関係性における新しい可能性を探るようなものです。男女間で、性の役割や力関係が変わったら何が起こるでしょうか？　ましてや、リャオとモロは、中国人と日本人という関係もあり、本作は、愛と憎しみの関係を表現するものでもあるのです。

ふたりの関係が続いている今現在も作品制作は続いています。だからこそタイトルの最後に「vol.1」と付いているのです。

Pixy Liao（ピクシー・リャオ）は、中国・上海で生まれ育つ。メンフィス大学（アメリカ）で写真を専攻。現在、アメリカ・ニューヨークを拠点としている。NYFA FellowshipやEn Foco's New Works Fellowship、LensCulture Exposure Awardsなどを受賞。何香凝美術館（中国）、セックス美術館（アメリカ）、アジア・ソサエティ（アメリカ）など、国内外で作品展示を行う。