shashasha 写々者

2020年に出版されたMaude Arsenaultのデビュー写真集『Entangled』のリマスター版となる本書は、オリジナル版と同じデザインだが、装丁をグレードアップし、日本の特殊な上質紙に印刷されている。

ファッション写真家として成功したキャリアを持つArsenaultは、「長年、美化された女性像を創り出すことに専念してきた結果、モデルの女性らしさの伝達における自分の役割と影響力に疑問を抱くようになった」という決意に基づき、『Entangled』では女性の身体の一部、自然、プライベートな空間のイメージを、主に断片的、あるいは抽象的な構図で紹介している。描かれている少女や女性の名前、そしてArsenaultと彼女との関係は特定されないままだ。少女のそばかすのある腕、ピンクのビーチハウスの外観、積み重ねられた2脚の椅子、壁に映る木の枝の影、少女の肖像など、彼女の静かで、よく観察された、ほとんど物憂げな写真は、女性らしさの新しい、異なる様式やアイデンティティを注意深く感じ取っている。