shashasha 写々者

カナダ人写真家、テレサ・エン（Teresa Eng）による作品集。『China Dream』は、生まれた国と母国との間で揺れ動きながら生きる、海外移住者第二世代の分裂したアイデンティティについて探求する。

中国から香港経由でカナダに移住した中国人の両親のもとに生まれたエンは、2013年から2017年にかけて母国についての調査を試みた。一度も住んだことのない国に対するエンの文化的知識は、流動的な国の現実とは対照的であった。

中国の各都市への訪問は、過去の再構築と再解釈を行いながら、新たなタイプの文化を創造することで未来を築く過程にある最中の母国への新たな視点を与えた。文化大革命で破壊された歴史的記念物や建造物は、しばしばオリジナルの複製として、でたらめに再建されている。「China Dream」というフレーズは、エンが新聞屋で発見した愛国政策カレンダーのタイトルであり、そして2013年に習近平総書記が流行させた言葉だ。それは明らかに、アメリカ合衆国の建国以来掲げられている、勤勉と企業家精神が個人と国を繁栄に導くという理念、アメリカン・ドリームを仄めかしている。