干潟にて
本作は、新山清(1911-1969)が故郷・愛媛の今出海岸で撮影した作品群です。戦後暫く帰郷していた新山は、或る日そこで自然物と気候が生みだした不思議な干潟の光景に出会います。その日の潮が満ちるまでの数時間の内に撮影することができたのは20数枚のネガフィルムだけで、新山はその後も幾度となく今出海岸へ足を運びましたが、そのような光景には二度と出会うことができませんでした。
写真集には、そのネガから新山自身が仕上げたヴィンテージプリント15点を収録いたしました。主観主義写真として評価される新山のグラフィカルな感性による画角や構成、そして当時の写真における時代背景なども窺い知れる一冊となっております。現在は埋め立てられてしまい姿を変えた今出海岸の当時の様子や、気候としても珍しい現象の資料ともなりうる貴重な作品群ともいえるでしょう。写真から溢れてくる当時の海の自然物の豊かさ、それを目の当たりにした新山の喜び。それは誰しもが味わったことのある原体験的な感情を揺さぶります。
― 出版社説明文より
- 判型
- 275 × 355 mm
- 頁数
- 40頁、掲載作品15点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語、日本語