A Metamathematical Proposition
本書は、1950年代の大西茂の前衛的な写真作品を紹介している。大西の写真は、ヌード、街並み、樹木、室内など、あるいはそれらを組み合わせた多重露光やフォトモンタージュなど、その撮影方法が非常にユニークである。例えば、筆で印画紙に乳剤を塗り、フォギングを行い、酢酸で変色させて定着が不完全であるかのように見せたり、現像時に温度を変化させて色調を補正したりしていた。この絵画的な結果は、大西の関心が従来の表現ではなく、彼の言葉を借りれば、視覚的な「アイデアの形成」であり、写真のプロセスに伴うあらゆる偶然性を受け入れることで「変化するイメージのフレーバー」を引き出すことにあることを示している。大西は「実は、計画された要素だけで構成された写真は、一枚の正三角形のドローイングと本質的に同じである」と主張している。
また、大西は数学者でもあり、その知識が彼のアプローチを支えていた。
「私の写真の目的は、“存在の可能性”や“選択の可能性”といったメタ数学的な命題を追求することにある」― 大西茂
『A Metamathematical Proposition』は、生前にはほとんど知られていなかった大西の独創的なビジョンを紹介する初めての包括的な写真集となっている。
- 判型
- 280 × 230 mm
- 頁数
- 192頁、掲載作品195点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2021
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-3-95829-706-7