shashasha 写々者

誰もが自分の記憶の中でユニークな出発点を持っています。黎朗にとっては、1974年にすべてが始まりました。彼の作品「1974」は、390枚のスライドがループ再生され、1974年の記憶から抽出された4つの物語の吹き替え、その年の重要な出来事の要約、そして現場での吹き替えのビネットを伴って構成されています。

写真を中心に活動する黎は、現実と虚構の間の曖昧なゾーンに歴史とイメージの自身の観察を挿入し、その間の矛盾や葛藤を考察しています。「1974」のスライドは、スタジオポートレート、旅先での写真、仕事や日常生活のスナップショットなど、さまざまなソースから長年にわたって収集したビンテージ写真から構成されています。それらをさまざまなカテゴリーに分類した後、黎は架空の年表に基づいて日付を手でラベル付けしました。このようにして、これらのヴィンテージ写真は元の文脈から取り除かれ、彼の記憶のメタファーとなり、後に彼自身のナレーションの中にフレーミングされていきます。

黎の作品は、ボイスオーバーと年代物の写真を通して、彼の記憶の出発点の想像力を再構築しています。イメージとテキストはもはや過去の痕跡ではありません。また、光と影の間にある現実との対話の可能性を探ります。黎は決して観客に歴史の物語を受け入れることを求めません。その代わりに、彼は過去の探求者として私たちを誘うのです。