Water Line. A Story of the Po River
アルプスの山麓からアドリア海に至るまで全長約650キロにも及ぶイタリア最大の河川、ポー川。
私は2017年の春と秋、ポー川流域を巡る旅に出た。
我々の体内を流れ、生きていくのに不可欠な存在である水が、どこから来てどこへ向かうのか、水が人間の暮らしにどう結びついているのかを、一本のある川を見ることでこの目で確かめてみたかったのだ。
― アーティストステートメントより抜粋
西野は移動中に撮影した膨大なフィルムと共に、土地の景観や風景、出会った人々との会話や彼らの雰囲気を、その地で体感した匂いや喜びや畏れや寒さや暑さや快適さや、そうしたあらゆる記憶と時間を彼の身体に封じ込めて持ち帰る。そしてそこからもうひとつの彼の写真行為が始まるのである。
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西野の記憶と土地の記憶と人々の生活がスパークして集積され、その背後に横たわる歴史や社会が奇妙にゆがんだ時間の中に風景の中に埋め込まれていき、全体の俯瞰図の中に再現される。西野の作品化の過程で、徐々に、偶然の出会いが必然となっていく。
よく見て欲しい、全体を、そして細部を。
西野のジオラマ・マップに描き出されたポー川は、まるで生きているようにうねっている。それは時を駈け空に上り人間を守護するという、伝説の動物、竜のようだ。
― 笠原美智子、西野壮平「the Gd4PhotoArt competition」プロジェクトについてより抜粋
- 判型
- 248 × 248 mm
- 頁数
- 120頁、掲載作品127点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2019
- 言語
- 英語