Zoo Animals
僕はこの沈黙に、自分自身の存在の深淵を覗いてしまったような気がした
写真家・酒航太の初作品集。
本作には、作家がおよそ10年前からライフワークとしている、日本各地で撮影された動物たちの姿が収められています。際限のないモノクロの中間調に浮かび上がる朦朧(もうろう)たる像は、愛玩されることも、消費されることも拒むように、ただそこに存在しているようです。
動物園にいる動物たちはアフリカの草原で生け捕りされ、
私たちの目の前にいるわけではない。
多くは動物園で生まれ育ち、外の世界を知らずに一生を終える。
幸か不幸か、
ここにいる動物たちはこの特殊な環境に選ばれた者たちである。
人工的な空間で寝起きする。食料は決められた時間に与えられる。
体調が悪いものには医者がついている。
そして、いつも人に見られている。
暗室の赤電球の下、
現像液の中でゆらゆらと浮かび上がってくる動物たちは、
何も言わずにただ佇んでいる。
僕はこの沈黙に、
自分自身の存在の深淵を覗いてしまったような気がした。
― 酒航太
酒航太(さけ・こうた)
1973年、東京都武蔵野市出身。1997年、San Francisco Art Institute卒業。国内外の個展、グループ展にて写真作品を発表。2014年より、新井薬師前にてギャラリー/バー「スタジオ35分」のオーナーを務める。
- 判型
- 257 × 182 mm
- 頁数
- 32頁、掲載作品24点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2021
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 700