SISTER COMPLEX
僕には9才年下の妹がいる。
20年前に幼くして母親を亡くした妹。
僕たち兄妹は力を合わせて生きてきた。
いつしか大人になった妹は進学。僕は上京。
うつろいゆく時の中で5年の月日が経ち、僕たち二人は再会する。
僕と妹のあいだには、いつのまにか戻ることができない、行くあてのないレールが敷かれていた。
僕はもう戻れないそのレールを、その暗闇をたどることにした。
母の不在、消えることのない疑念。茫漠とした時間のファイル。もしも願いが叶うのなら、圧倒的なそのすべてを取り戻したい。
僕は妹にはじめてカメラを向けた。
ファインダーに映る妹の横顔は、狂おしいほど絶対的で。決定的で。それでいて愛おしくて。
桜の季節が何度めぐっても、夢中になって妹を撮り続けた。
僕は妹に恋をしていたのかもしれない。
— 作者あとがきより抜粋
- 判型
- 192 x 262 mm
- 頁数
- 48頁、掲載作品31点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2016
- 言語
- 英語、日本語