Philip Glass, 5th October 1995 New York City
1995年、ニューヨークを訪れていたヴィクター・ブーレは、作曲家フィリップ・グラスのニューヨークのタウンハウスでのポートレート撮影に成功した。本書『Philip Glass 5th October 1995 New York City』では、ブーレがコンタクトシートとともに、すべてのフレームを含むポートレート・セッションの全編を未編集のまま公開している。この一連の写真と、フィリップ・グラスと過ごした朝の裏話を面白おかしく語るブーレのエッセイの中で、ブーレが描く作曲家と彼自身の考え、災難、不安が重なり合い、ブーレとグラスの二重の肖像画を作り出している。
文化や名声に縁のある人物を描くことは、その人物と関係があるだけで、社会的な階段を上ることができる。私はそれを利用してきた。しかし、フィリップ・グラスに電話をかけたその日はそうではなかった。私は彼のファンで、そしてニューヨークで退屈していたのだ。
演奏が止まった。静寂。足音。目の前にフィリップ・グラスがいた。彼は驚いた表情で私を見た。そして、私のカメラが入っている黄色いプラスチックのスーツケースの方に目玉を急速に移動させ、頭を持ち上げて私の背後を覗き込み、こう言った「それだけ?」
― ヴィクター・ブーレ
- 判型
- 270 × 210 mm
- 頁数
- 144頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2021
- 言語
- 英語
- ISBN
- 978-1-908806-07-9