路上 2
ほかの人間が存在し
僕以外の人間がRPGのキャラクターでも通りすがりの影でもない
一人の人間として存在していることを強制的に僕の本能に訴えかけてきた。
僕は、世界に一人しか存在しないのではないか?
確かめるため、息をするため
人と関わり撮影をしてきた。
上野は、人が人として存在している。
僕に安らかな気持ちを与えてくれる。
夕陽に照された池の蓮
風に揺れる一枚の花弁
ゆっくり時を刻むごとに水面の輝きを纏っていく
人々もまた変わっていく
僕には、いまこの瞬間の『上野』が必要だった
お手製の帽子を被ったおじさん
毎月、10年間上野公園の同じ木を写真に撮りに来る新潟の人
大雪の中、誰もいない公園で『もう少し待ってみる』と笑顔で話す立ちんぼのお姉さん
同じ時を刻む人々の姿
僕は、今東京にいる。
僕たちは今を生きている
— 作家ステートメント
- 判型
- 210 × 282 mm
- 頁数
- 32頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2018
- エディション
- 500