KOTOHIRA
ドイツ・ライプツィヒ視覚芸術大学に学び、明確なコンセプトをもとに生活の中での気づきや実践を根拠に作品制作を行う溝縁真子。本作は作家のルーツとなる故郷琴平にある祖母の家を中心に撮影され、2016年に極めて少部数のアーティストブックとして制作された。出展の度に寄せられる数多くの求めの声に応じてバッファロープレスより新たに新編集版として刊行。
2014年の春以降、ドイツからの一時帰国のたびに幾度となく琴平を訪れて撮影を重ねてきました。 当初は、脳梗塞で突然の入院生活となった祖母に、もう帰れないかもしれない彼女の家を見せてあげたいという動機でした。いつしかふと気がつくと、撮り進める行為自体がわたしのためになっていました。そこに在るものが導き出す光や影は、わたしが知っているようで知らない祖母の生活に少しずつ近づくことを許すように、毎回違った表情をしていました。そして、その静まりかえった空気をすこし揺らすたびに、ものに宿る祖母の気配が少しずつ解かれ、新しい変化を受け入れるための軽やかさを取り戻したように感じました。 あるいは、撮ることによってその空間やものが、祖母の生活を守るものであったという一つの役割を終えることができたのなら、わたしはこの一冊の写真集に意義を見出すことが出来るかもしれません。(ステートメントより)
― 出版社説明文より
- 判型
- 297 × 210 mm
- 頁数
- 84頁、掲載作品37点
- 製本
- ソフトカバー、ケース
- 発行年
- 2018