HANON
作家の名を一躍世に広めた代表作『TOKYO PARROTS』の続編として、東京近郊に異常繁殖した川鵜を追った新作は、鮮やかな色彩が印象的だったこれまでの水谷作品とは一線を画し、カラーながらモノクロ写真のごとき白と黒のモノトーンの色調で表現されています。鳥の存在によって特異化した都市風景は、水谷の得意とするグラフィカルな構図によって切り取られ、遠近感覚を奪われた二次元世界へと変換されます。
東京の空に架かる電線を占拠する大群の姿はシルエットとなって、まるで譜面に並ぶ音符記号のように浮かび上がります。本書では、その譜面のようなイメージを、フランスのピアノ教則本『HANON』になぞらえました。
都市の中で大群をなす川鵜たちと周囲の環境とのつりあいが取れていない光景は、現代社会へのある種の警鐘でもある。しかし、同時に黒い鳥たちは、まるで音譜よろしく上空で美しい旋律を奏でているようにも思えるのであった。―水谷吉法
― 出版社説明文より
- 判型
- 360 x 258 mm
- 頁数
- 72頁
- 製本
- ソフトカバー
- 発行日
- 2016