Fade

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中里唯馬

出版社:bookshop M

現在、日本人として唯一、パリ・オートクチュールウィークに自身の名を冠したブランド「YUIMA NAKAZATO」で公式参加を果たしてきたファッションデザイナー、アーティスト・中里唯馬。名門、アントワープ王立芸術アカデミーファッション科を、日本人最年少で修士課程を修了。壮大な世界観で年2回発表されるコレクションは世界のファッションシーンを揺るがし続けている。

2024年、中里は世界各地の民族衣装を探求する旅の中で、エジプトの砂漠に立っていた。
乾いた大地を見つめたとき、彼の脳裏に浮かんだのは、地中深く眠る巨大なナマズ、幻か、それは神話か─。
衣服と環境の関係に問いを投げかけながら、彼はすでに“その先”を見つめていた。
人類が消え、砂漠化した東京。そこに埋もれた文明の遺物としての衣服。

そして、作品集『FADE』が生まれた。

本書には、中里自身がカメラを手に、エジプトの砂漠で撮影した写真が収められている。
衣服に込めた思想、未来への眼差しが、ひとつひとつのカットに宿る。
衣服と人類の未来を見据えた、中里唯馬の壮大な旅。
その断片が、いまここに記録される。

― 出版社説明文より

砂漠が語る宇宙と巨大ナマズの物語は衣服に宿るか

ここは、数千万年前は海の底だったと伝えられている。
私は、広大なサハラの一角にある白砂漠という場所を訪れていた。
この惑星に宿る、遥かなる記憶に想いを馳せたいと思ったのだ。

幾何学的な都市空間の中にいた私が、今は巨大キノコのような岩が乱立する景色の上に立っている。
記憶と夢と想像と現実と、様々な世界が脳内で混ざり合い、一体自分自身がいつどこにいるのかわからなくなる。

白砂漠はその姿を一変させた、日が沈むと。
暗闇の中、砂の大地は強風でゆらゆらとうねり、まるで液体のようにその姿を変化させていた。
地中に何か巨大な生き物がいる。
一度その想像をするとしつこく頭から離れない。

長い夜は明け、再び太陽が昇り始める。
ここは、未来の東京。

― 中里唯馬(本書あとがきより)

キーワード: ファッション

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