海女さん
海に潜ると、午時の光が垂直に差し込んでくる。肺にためた空気は太平洋の海の底に沈む岩にはりついたアワビを取り、海面に顔を出してまた息ができるようになるまで保たせなければならない。酸素ボンベもなければ、その他の水中で動くために使ういかなる道具もない。ただ限界まで自らの肉体を使うのみである。こうした素潜りは日本で2000年以上前から海女たちの間で受け継がれている。文字通り、海の女たちだ。彼女たちは日本の文化においては特別な位置づけをされ尊ばれているが、同時にまた多くの誤解も受けている。
海女は、漁師として、また海の番人としての役割を確立しており、西洋社会における伝統的な女性の役割だけでなく、女性性そのものにも疑問を投げかける。本作では志摩半島の小さな漁村に住み30年以上一緒に潜っているという年配の女性3人の日常を追った。水面下の静寂の中で、そして田舎の村での生活の中でカメラを回し、永年受け継がれてきた伝統とともに暮らす人々の姿を浮き彫りにした。昨今、現役で潜る女性の年齢はほぼ50歳から85歳が平均的だという。
-出版社説明文より
- 判型
- 120 x 173 mm
- 頁数
- 41頁、掲載作品39点
- 製本
- ハードカバー
- 発行日
- 2015
- エディション
- 300