戦前戦後を通じての日本の写真家である。主として、報道写真系統の作品、特に、日本を対象とする写真を多く撮影した。日本人初のハッセルブラッド国際写真賞受賞者。田中雅夫(写真評論家)は兄。デューク・エイセスの槇野義孝は甥。また写真家の桑原甲子雄は隣家の幼なじみで、若き日ともに写真に親しんだ。

1960年代後半から世界の自然を撮影し、約8年間で六大陸を踏破する。1965年、ニューヨーク近代美術館の「12人の写真家たち―現代写真国際展」に出品。1967年、北米大陸を3か月にわたり自動車旅行し撮影。1969年、ニューヨークのアジアハウスで個展「HAMAYA'S JAPAN」開催、全米を巡回する。1970年代もたびたび海外の展覧会に参加、世界各地で撮影旅行を旺盛に繰り広げた。1981年、50年間の活動の軌跡をまとめた『濱谷浩写真集成―地の貌 生の貌』で日本芸術大賞を受賞。1986年には米国の国際写真センター(ICP)より、世界最高峰の写真家に与えられるマスター・オブ・フォトグラフィー賞を受賞。1987年、日本人写真家として初めてハッセルブラッド国際写真賞を受賞した。1990年に川崎市民ミュージアム、1997年に東京都写真美術館で個展を開催。1981年度の芸術選奨文部大臣賞を辞退したほか、教科書検定制度への反発など、反骨精神を貫いた。戦争の罪滅ぼしの念からアジア諸国に図書を寄贈するなどの活動も行った。

出版物

1956 -『雪国』毎日新聞
1957 -『裏日本』新潮社
1958 -『見てきた中国』河出書房新社
1960 -『怒りと悲しみの記録』河出書房新社
1971 -『アメリカン・アメリカ』河出書房新社
1978 -『雪国 ソノラマ写真選書』朝日ソノラマ

個展

1997 - 濱谷浩-写真の世紀/東京都写真美術館
1989 - 写真家・濱谷浩展 川崎市市民ミュージアム
1991 - 写真体験六〇年・濱谷浩展 平塚市美術館
2013 - Japan's Modern Divide: The Photographs of Hiroshi Hamaya and Kansuke Yamamoto/J・ポール・ゲティ美術館

濱谷浩の書籍