Kill the Pig
1961年、深瀬昌久の初個展「豚を殺せ」が東京の銀座画廊で開催された。この展覧会は、東京・芝浦の屠殺場を舞台にした「豚を殺せ」と、一組のカップルが裸体でパフォーマンスを繰り広げる「臝」と題された(裸を意味する言葉)2つのシリーズで構成されていた。この深瀬の最初期の作品群を初めて一冊にまとめたのが本書である。
「自らの人生を賭したという意味で“深瀬劇場”とも呼べる彼の写真表現にプロローグがあったとするならば、それが1961年に写真展として開催された「豚を殺せ」である。
今でこそ、「豚を殺せ」が深瀬にとって実質的なデビュー作であったと同時に、その後の彼の写真表現を貫く視座が確かめられる重要な作品であったと評価できるが、屠畜という題材を正面から扱ったことで長らくタブー視され、深瀬自身も多くを語らないまま、1961年の個展発表を除いて大半の写真群が公開される機会に恵まれなかったことから、幻の作品とも言えるだろう。
本書は「豚を殺せ」を初めて単独の本として編むことから、今日に至るまで謎のベールに包まれてきた深瀬の原点をいよいよ浮き彫りにさせようというものである。」
― トモ コスガ(深瀬昌久アーカイブス 創設者兼ディレクター)
- 判型
- 325 × 245 mm
- 頁数
- 84頁
- 製本
- ハードカバー、ケース
- 発行年
- 2021
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 979-10-95424-27-7