Ghar
アヌ・クマールにとって、場所やアイデンティティにまつわる考え方は決して明確なものではない。メルボルンを拠点に活動する若き写真家が、21歳のときに幼少期以来初めて生まれ故郷であるインドのKavi Nagarに戻ったとき、彼女は途方に暮れた。「その中で自分の居場所や自分が何者なのかがわからないという違和感を覚えていました」と彼女は言う。「インド人であることを学ぶ練習として、写真を撮り始めたのです」
ヒンディー語で「家」を意味する「Ghar」という言葉は、彼女のデビュー作であるこの写真集のタイトルでもあり、彼女の追求の幅広い成果でもある。中判カメラで5年にわたって撮影されたクマールの柔らかな視線は、Kavi Nagarにある実家の部屋や中庭を彷徨い、近隣の通りに出て、個人的・文化的遺産の象徴的・美的な目印を描き出している。伝統的な家族アルバムを思わせる祖母、叔母、叔父の形式的なポートレートは、日々の仕事や静かな佇まいの親密なシーンに姿を変える。
パンデミックによってオーストラリアの国境が約2年間閉鎖されたとき、クマールの家族的な親密さの探求は、突如として新たな普遍性を与えられた。この時期に編集・撮影された本書『Ghar』は、異文化の家族が経験する強制的な距離、そして写真の役割についても語っている。
― 出版社説明文より
- 判型
- 180 × 140 mm
- 頁数
- 136頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- 言語
- 英語
- エディション
- 800