And Then
これは、and then(それから)の写真集の裏話。写真は二人が寄り添って歩いた記録。
トミーとジャニスの出会いは、文芸映画の出会いのように、共通の友人の絵画展がきっかけだった。二人が意気投合する様子にドラマはない。カタツムリのようなスピードで関係が始まるのは、それから1年後のことだった。
トミーは写真家で、ジャニスは彼の写真の「木漏れ日」のような静かな雰囲気が好きだった。
二人はよく手をつないで、帰り道に必ず通る「自由島」と名前をつけた草むらを歩いたという。知り合って7年、二人はお互いの心の居場所だった。
しかし、2年前にステージ4の子宮頸がんが彼女を襲った。
「他にやりたいことはある?」
「結婚したい!」
彼らは結婚した。
回復の見込みはあったが、がんが再発し、ジャニスは長い間入院していた。彼女がホームシックになったとき、トミーは家の外の風景を撮って見せた。
2ヵ月後、トミーはジャニスと手をつないで旅の終わりまで歩いた。
トミーは、二人が付き合い始めた頃から、ジャニスの人生のさまざまな瞬間を写真に収めるのが好きで、10年間の愛の証として写真集を作ることを元々計画していた。結局ジャニス本人にはお披露目できなかったが、この写真集でトミーをはじめ、彼女を恋しいと思っている友人や家族に、彼女とつながることができるようになった。
写真を選び、キャプションを書くことは、トミーにとって想いを整理する作業でもあった。胸が張り裂けそうな夜が続いたことは想像できるが、実際彼が感じていた心細さは他人が共感するのは難しい。
しかし写真集を見ていると、トミーの写真は、ジャニスが詩的に表現したように、「木々の隙間に差し込む暖かい光り」のようなものだと感じた。元々は二人にしか分からない親密な関係だが、優しい生活の写真を見たり、彼の真摯な言葉を読んだりすると、涙が出そうになる。
表紙と裏表紙は、片方はジャニスが生まれた時の月の形で、もう片方はトミーが生まれた時の月の形。どちらも欠けている月だが、重なると満月になり、お互いの欠けている部分を埋めあっている。
この写真集は、左から読んでも右から読んでも、二人の関係を時系列で記録した構成になっている。本の一番真ん中、ジャニスの人生の最終章と満月が見えてくる。編集は写真集のタイトルand then(それから)と呼応するようになった。
愛はどちらかが亡くなったら終わるわけではなく、常にその次があり、その次もある。
― 出版社説明文より
- 判型
- 237 × 218 mm
- 頁数
- 296頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2022
- 言語
- 英語、中国語
- エディション
- 500