1933年茨城県生まれ。
1955年、新潮社に入社。1959年に新潮社を退社しフリーランスとなる。佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高、細江英公らと共に写真エージェンシー「VIVO」(1959-61年)を設立。
敗戦という歴史の記憶を記号化するメタファーに満ちた作品「地図」を1965年に発表し、以来現在に至るまで、常に予兆に満ちた硬質で新しいイメージを表現し続けている。
自身の作品を「時代の中の特徴的なシーンと自分との関係をとらえて表現し、その時の可能な形でまとめ上げ、その積み重ねから一つのスタイルが生まれてくる」と語る。近年はインスタグラムにて写真への思考を巡らせながら、日々作品をアップし続けている。

年表

1950 - 池袋にある立教高等学校に編入。
1952 - 高校卒業時に伊豆長岡温泉で遊び、芸者をモデルに撮影した作品を土門拳・木村伊兵衛が審査員を務める『カメラ』に応募する(特選を獲得)。立教大学経済学部経済学科に入学し、写真部に在籍。写真部の共同制作として「池袋」のドキュメントを撮影。
1955 - 卒業後、新潮社に入社。
1956 - 2月19日号創刊『週刊新潮』のグラビアなどの撮影を担当。
1957 - 第1回『10人の眼』展(写真評論家・福島辰夫による企画)に参加。日本写真家協会会員となる。
1959 - 2月、新潮社を退社し、フリーとなる。初の個展「海」を開催、第五福竜丸を取材した作品を展示する。
1959 - 7月、佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高、細江英公とともにセルフ・エイジェンシーであるVIVOを結成(1961年まで)。
1960 - 『カメラ毎日』2月号に、「三島由紀夫の館」を発表。
1965 - 写真集『地図』を刊行する。序文を大江健三郎、ブックデザインを杉浦康平が担当する。
1971 - 写真集『聖なる世界』を刊行する。澁澤龍彦によるエッセイ「バロック抄」を収録。
1973 - 『カメラ毎日』6月号にダイアン・アーバスについてのエッセイを発表。
1987 - 9月、沖縄県読谷村で、20世紀日本最後の金環食を撮影。
1988 - 小笠原諸島の父島で、20世紀日本最後の皆既日蝕を洋上から撮影。
1989 - 昭和最後の太陽を撮影。
1996 - 「ラスト・コスモロジー」で第46回日本写真協会賞の年度賞、第12回東川賞の国内作家賞を受賞。
2004 - 芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

出版物

2022 -「Vortex」赤々舎
2021 -「地図 マケットエディション」Mack
2021 -「One picture Book Two #25」Nazraeli Press
2020 -「20」bookshop M
2016 -「遠い場所の記憶 1951-1966」Case Publishing (FAPA)
2015 -「The Last Cosmology」Mack
2014 -「地図」限定復刻版 Akio Nagasawa Publishing
2014 -「SIX BY SIX - Japan 1951-1960」Nazraeli Press
2010 -「ワールズ・エンド World's End」フォトアルバム 私家版
2008 -「遠い場所の記憶 1951-1964」ブックオブジェ 私家版
2005 -新版「地図」<限定版> 月曜社
2003 -世界劇場 Theatrum Mundi」 東京都写真美術館 個展カタログ
2001 -「Eureka 全都市」 ポートフォリオ P.G.I.+K.K.
1998 -「世界劇場 The Glove Theater」 私家版
1998 -「日本の写真家 33 / 川田喜久治」 岩波書店
1995 -「ラスト・コスモロジー The Last Cosmology」 491+三菱地所
1986 -「ロス・カプリチョス」<私家版> ポートフォリオ
1984 -「川田喜久治・オリジナルプリント・Nude」<限定版> 新潮社
1984 -「ルードヴィヒII世コレクション」 自家版
1979 -「ルードヴィヒII世の城」 朝日ソノラマ
1971 -「聖なる世界 Sacré Atavism」<限定版> 写真評論社
19651984 -「地図 The Map」<限定版> 美術出版社

個展

2024 -「ロス・カプリチョス あしたのデーモン」PGI(東京)
2024 -「見えない地図」Supported by SIGMA 京都国際写真祭 京都市京セラ美術館
2023 -「ロス・カプリチョス 遠近」 コミュニケーションギャラリーふげん社
2022 -「Vortexのために」Purple(京都)
2022 -「地図」The Third Gallery Aya(大阪)
2022 -「ロス・カプリチョス 遠近」PGI(東京)
2021 -「エンドレス マップ」PGI(東京)
2020 -「『赤と黒』Le Rouge et le Noir」リコーイメージングスクエア東京(東京)
2020 -「Los Caprichos」L. Parker Stephenson Photographs(ニューヨーク)
2019 -「影のなかの陰」PGI(東京)
2018 -「ロス・カプリチョス –インスタグラフィ– 2017」PGI(東京)
2018 -「百幻影 – 100 Illusions」キヤノンギャラリー S(東京)
2016 -「Last Things」PGI(東京)
2016 -「Then & Now」L. Parker Stephenson Photographs(ニューヨーク)
2014 -「The Last Cosmology」L. Parker Stephenson Photographs(ニューヨーク)
2014 -「The Last Cosmology」Michael Hoppen Gallery(ロンドン)
2013 -「unknown 2013」ライカギャラリー東京(東京)
2012 -「2011 – phenomena」フォト・ギャラリー・インターナショナル[以下P.G.I.] (東京)
2011 -「日光−寓話 Nikko-A Parable」P.G.I. (東京)
2010 -「ワールズ・エンド World’s End 2008 – 2010」P.G.I. (東京)
2009 -「ラスト・コスモロジー」東京国立近代美術館(東京)
2008 -「遠い場所の記憶 メモワール 1951-1966」P.G.I. (東京)
2007 -「ATLAS 1998-2006 全都市」エプサイト(東京)
2006 -「見えない都市」P.G.I.(東京)
2006 -「Kikuji Kawada: The Map / Globe Theater」ギャラリー・カメラ・オブスキュラ(パリ) 2005 -「川田喜久治写真展 Eureka 全都市 Multigraph」写大ギャラリー(東京)
2004 -「地図」P.G.I.(東京)
2003 -「川田喜久冶展 世界劇場」東京都写真美術館(東京)
2001 -「Eureka 全都市」P.G.I.(東京)
1999 -「The Globe Theater」ヘルテン国際写真フェスティバル ‘99(ヘルテン、ドイツ)
1998 -「カー・マニアック」P.G.I.(東京)
1996 -「ゼノン-ラスト・コスモロジー」P.G.I.(東京)
1996 -「ラスト・コスモロジー」東川国際写真フェスティバル(北海道)
1996 -「ラスト・コスモロジー」三菱地所アルティアム(福岡)
1995 -「ラスト・コスモロジー」タワーギャラリー(横浜)
1986 -「ロス・カプリチョス 1970-80」P.G.I.(東京)
1084 -「ヌードミュージアム」、「ルードヴィヒ II 世コレクション」P.G.I.(東京)
1976 -「川田喜久治展」写大ギャラリー(東京)
1968 -「 ある世界」銀座ニコンサロン(東京)
1961 -「地図」富士フォトサロン(東京)
1959 -「海」富士フォトサロン(東京)

グループ展

2022 -「占領と平和」写大ギャラリー(東京)
2022 -「Farewell Photography: The Hitachi Collection of Postwar Japanese Photographs, 1961-1989」フェニックス美術館
2021 -「幻視するレンズ コレクションによる小企画」東京国立近代美術館(東京)
2020 -「Giacomelli e il suo tempo」Palazzo del Duca(セニガリア、イタリア)
2020 -「The Sky as a Studio. Yves Klein and his contemporaries」ポンピドー・センター・メス(パリ)
2020 -「PGI summer show COLORS」PGI(東京)
2019 -「The Gaze of Things. Japanese Photography in the Context of Provoke」
Bombas Gens Centre d’Art(バレンシア、スペイン)
2019 -「PGI 40周年記念展」PGI(東京)
2018 -「Time Frame: Contemporary East Asian Photography」ボルチモア美術館(メリーランド、アメリカ)
2018 -「Women –through the lens–」PGI(東京)
2017 -「A History of Photography: Selection from the Museum’s Collection」ヒューストン美術館(テキサス)
2017 -「Birds in the Hand」PGI(東京)
2016 -「香月泰男と丸木位里・俊、そして川田喜久治」平塚市美術館(神奈川)
2016 -「Masters of Japanese Photography」Sainsbury Center for Visual Arts(ノリッジ、イギリス)
2016 -「From the Collection: 1960–1969」The Museum of Modern Art, New York(ニューヨーク)
2016 -「The Sun Placed in the Abyss」コロンバス美術館(オハイオ)
2016 -「Japanese Photography from Postwar to Now」サンフランシスコ近代美術館(カリフォルニア)
2016 -「ものを見る」PGI(東京)
2015 -「化け物」青森県立美術館(青森)
2015 -「In the wake: Japanese Photographers Respond to 3/11」ボストン美術館(アメリカ)
2014 -「Conflict, Time, Photography」テート・モダン(ロンドン)
2011 -「森と芸術」東京都庭園美術館(東京)
2009 -「日本の『自画像』Japan: A Self-Portrait」世田谷美術館(東京)
2007 -「VIVO」写大ギャラリー(東京)
2006 -「EHON: The Art and Book in Japan」ニューヨーク・パブリック・ライブラリー(ニューヨーク)
2003 -「The History of Japanese Photography 日本写真史展」ヒューストン美術館(テキサス、アメリカ) 「VIVO」島根県立美術館(島根)
2001 -「Viva! ITALIA」東京都写真美術館(東京)
2001 -「Illusion: Japanese Photograph」Kulturhuset(ストックホルム、スウェーデン)
同展はデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドで巡回展示される
2000 -「P.G.I.ギャラリー・アーティスト展」P.G.I.(東京)
1999 -「Contemporary Photographic Art from Japan」Neuer Berliner Kunstverein(ベルリン)
1999 -「写真表現の軌跡/第 2 部 日本の写真:1950 年代から現代まで」東京都写真美術館(東京)
1999 -「写真再発見 東京国立近代美術館の写真コレクションより」東京国立近代美術館フィルムセンター(東京)
1998 -「Waterproof」エキスポ ’98(リスボン)
1998 -「視線の回廊/第 1 部 物語とイメージ」東京都写真美術館(東京)
1998 -「Under/Exposed」ストックホルム写真フェスティバル(ストックホルム、スウェーデン)
1998 -「戦後日本のリアリズム 1945-1960」名古屋市美術館(名古屋)
1995 -「戦後文化の軌跡 1945-1995」目黒区美術館(東京)
1995 -「モノ・カオ・反物語」東京都写真美術館(東京)
1995 -「25 人の 20 代の写真」清里フォトアートミュージアム(山梨県清里)
1991 -「日本写真の転換 1960 年代の表現」東京都写真美術館(東京)
1991 -「Beyond Japan: A Photo Theatre」バービカン・アート・ギャラリー(ロンドン)
1991 -「写真の 1955-65 自立した映像群」山口県立美術館(山口)
1990 -「デジャ=ヴュの眼」ハイネッケン・ヴィレッジ・ギャラリー(東京)
1989 -「Photographie Japonaise」Provincial Museum(オランダ)
1988 -「日本の写真家 8 人展」P.G.I.(東京)
1986 -「前衛芸術の日本 1910-1970」ポンピドゥー・センター(パリ)
1986 -「スーパー・イメージの世界」西武シード館(東京)
1985 - 「パリ・ニューヨーク・東京」つくば写真美術館 1985(茨城)
1981 -「VIVO 展 1959–1962」写大ギャラリー(東京)
1979 -「Japan: A Self - Portrait」国際写真センター(ニューヨーク)
1978 -「VIVO」サンタバーバラ美術館(カリフォルニア)
1976 -「Neue Fotografie aus Japan」グラーツ市立美術館ほか(グラーツ、オーストリア)
1974 -「New Japanese Photography」ニューヨーク近代美術館(ニューヨーク)
1963 -「現代写真展 1961/1962」東京国立近代美術館(東京)
1962 -「Non」銀座松屋ギャラリー(東京)
1957 - 第1回「10人の眼」小西六フォトギャラリー(東京)

受賞

2024 - 日本写真協会賞 功労賞
2011 - 日本写真協会賞 作家賞
2004 - 芸術選奨文部科学大臣賞
1996 - 日本写真協会賞 年度賞
1996 - 東川賞 国内作家賞

収蔵

東京国立近代美術館(東京)、東京都写真美術館(東京)、北海道立釧路芸術館(釧路)、川崎市市民ミュージアム(神奈川)、清里フォトアートミュージアム(山梨)、山口県立美術館(山口)、多摩美術大学美術館(東京)、東京工芸大学(東京)、日本大学(東京)ニューヨーク近代美術館(ニューヨーク)、サンフランシスコ近代美術館(カリフォルニア)、アリゾナ大学センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー(ツーソン、アメリカ)、プリンストン大学美術館(ニュージャージー、アメリカ)、国立近代美術館(パリ)、ポンピドゥ・センター(パリ)、ミード美術館(ボストン、アメリカ)、テート・モダン(ロンドン、イギリス)、モルガン・ライブラリー(ニューヨーク)、ボストン美術館(ボストン、アメリカ)

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