稲岡亜里子は非常に国際的な出自の持ち主である。約550年前に創業された、京都でも最も長い歴史を持つ蕎麦菓子と蕎麦屋である「本家尾張屋」の第一子長女として生まれ、日本とアメリカで育った。写真との出会いはアメリカの学校に通っていた17歳の頃だった。2002年に初めてアイスランドを訪れ、自身が生まれ育った京都の原風景を思わせるような自然と光に魅了された。ここで彼女は1組の双子の姉妹に出会う。幼い頃から目に見えないものごとの存在をどこかで感じていた稲岡は、何も語らずとも通じ合い無意識下であらゆることを共有し合う彼女たちに惹かれ、足掛け8年にわたって撮影した。写真とアイスランドは、稲岡にとって魔法のような逃避の場となり、少女時代の記憶が甦った。自然や動物の世界からインスピレーションを受けた彼女の作品は、神道の精神だけでなく、より普遍的なアニミズムの感覚をも想起させる。

年表

1975年京都生まれ。
パーソンズスクール写真科(ニューヨーク)卒。
京都を中心に写真家として活動を展開する。

出版物

2020 -『Eagle and Raven』赤々舎
2008 -『SOL』赤々舎

稲岡 亜里子の書籍