山口晃は1969年東京都生まれ、群馬県育ちの日本画家。細密描写を得意として大画面の作品を手がけるいっぽうで、挿画やポンチ絵など様々な作風の作品を制作している。幼い頃から絵を描くのが好きで細密描写を試みるほか、マンガやアメリカン・コミックスのイラストなど多様な視覚表現にも興味を抱く。

 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に進学。日本でつくられたアニメーションやマンガ、冗談交じりの文化、子供の頃から親しんできた「お絵かき」に自分のルーツを見出し、油絵が輸入された地点から日本近代美術の流れを追体験する構想を抱く。その後、古美術と大和絵に大きな影響を受け、日本美術を独自に解釈した作風が徐々に確立。同大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修了後、97年に会田誠から誘いを受けて「こたつ派」のグループ展に参加し、これがきっかけでミヅマアートギャラリーを拠点に活動する。

 以後、2001年に岡本太郎記念現代芸術大賞で優秀賞を受賞するほか、個展やグループ展でその知名度を上げ、企業広告やパブリックアート、挿画なども手がけるようになる。なかでも05年からPR誌『UP』(東京大学出版会)で連載中(18年7月現在)のエッセイマンガ「すゞしろ日記」が好評を博す。そのほか、講演や文筆業など活動の幅を広げている。

年表

1969 - 東京都生まれ、群馬県桐生市に育つ
1994 - 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1996 - 東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了

出版物

2023 -『CHRONIQUES D'UN JAPON MERVEILLEUX』(Les Éditions de la Cerise、フランス) 2019 『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(山口晃 画)(小学館)
2019 -『山口晃 親鸞 全挿画集』(青幻舎)
2018 -『すゞしろ日記 参』(羽鳥書店)
2016 -『春風亭一之輔のおもしろ落語入門』(山口晃 画)(小学館)
2015 -『山口晃 前に下がる 下を仰ぐ』(青幻舎)
2015 -『探検!東京国立博物館』(藤森照信・山口晃共著) (淡交社)
2013 -『すゞしろ日記 弐』(羽鳥書店)
2013 -『日本建築集中講義』(藤森照信・山口晃共著) (淡交社)
2012 -『山口晃 大画面作品集』(青幻舎)

個展

2023 -
「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」アーティゾン美術館、東京 2021
「山口晃 -ちこちこ小間ごと-」ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM、京都
2019 - 横浜能楽堂企画公演「風雅と無常-修羅能の世界」特別展示 山口晃「昼ぬ修羅」、横浜能楽堂、神奈川
2018 -
「Resonating Surfaces」大和日英基金ジャパンハウスギャラリー、ロンドン、イギリス
「すゞしろ日記」 ナディッフ、東京
2016 -
「室町バイブレーション」ミヅマアートギャラリー、東京
「山口晃展 松山シフト 〜道後に関する作品から代表作まで〜」愛媛県美術館
「『街歩き旅ノ介 道後温泉の巻』 山口晃 道後アート2016」道後地区、愛媛
「馬鑑 山口晃展」馬の博物館、神奈川
2015 -
「山口晃展 汽車とかたな」鹿児島県霧島アートの森
「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城
2013 -
「山口晃展 画業ほぼ総覧—お絵描きから現在まで」群馬県立館林美術館
「山口晃展~またまた澱エンナーレ 老若男女ご覧あれ~」新潟市美術館
「山口晃展~付り澱エンナーレ 老若男女ご覧あれ~」そごう美術館、神奈川
2012 -
「山口晃展~山口晃と申します 老若男女ご覧あれ~」美術館「えき」KYOTO、京都
「望郷 TOKIORE(I)MIX」メゾンエルメス8階フォーラム、東京
2011 -
「東海道 新風景ー山口晃と竹﨑和征」ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡
「街歩き旅ノ介」福岡三越9階 「三越ギャラリー」、福岡
「Singa-planet」ジャパン・クリエイティブ・センター、シンガポール
2010 -
「東京旅ノ介」銀座三越・8階催物会場、東京
「いのち丸」ミヅマアートギャラリー、東京
2008 - 「さて、大山崎—山口晃展」 アサヒビール大山崎山荘美術館、京都
2007 -
「山口晃展 今度は武者絵だ!」練馬区立美術館、東京
「アートで候。会田誠 山口晃展」 上野の森美術館、東京
2006 -
「ラグランジュポイント」ミヅマアートギャラリー、東京
「ラグランジュポイント」中京大学アートギャラリーC・スクエア、愛知
船場建築祭「北野家住宅X山口晃」 大阪
2005 -
「山口晃展」日本橋三越新館7Fギャラリー、東京
「おさらい」高橋コレクション、東京
2004 - 「売らん哉」ミヅマアートギャラリー、東京
2003 - 『「山口晃展」展』ミヅマアートギャラリー、東京 2002
「日清日露戦役擬畫」ナディッフ、東京
2001 - 「畫を描く歓び」ミヅマアートギャラリー、東京 2000 ミヅマアートギャラリー、東京
1999 - 「借景」ミヅマアートギャラリー、東京
1998 - 「イスのある茶室」ミヅマアートギャラリー、東京

グループ展

2024 -
「2024年度コレクション展3」高松市美術館、香川
「コレクション展示:特集 コレクションのつくりかたー現代美術編ー」群馬県立近代美術館
「DESIGN MANIA〜百貨店・SCのデザイン〜」髙島屋史料館企画展示室、大阪 「ジパングー平成を駆け抜けた現代アーティストたちー」佐賀県立美術館 「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」東京都現代美術館(8/3-11/10)
「THE ドラえもん展 SHANGHAI 2023」iag美術館、上海、中国(8/1-10/5)
「犬派?猫派? −俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで−」山種美術館、東京(5/12-7/7)
「The 日本・画 -大川美術館のコレクションを中心に」大川美術館、群馬(4/27-6/30)
「シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴」群馬県立館林美術館(4/20-6/23)
「高橋コレクション カンヴァスの同伴者たち」山形美術館(4/5-5/26)
「ヒューマンビーイング −藤野天光、北村西望から三輪途道のさわれる彫刻まで」群馬県立館林美術館(1/27-4/7)
2023 -
「Anxiety and Hope in Japanese Art」メトロポリタン美術館、ニューヨーク、アメリカ(12/16-2024/7/14)
「THE ドラえもん展 TAIPEI 2023」中正紀念堂ホール、台北、台湾(12/16-2024/4/7)
「癒しの日本美術 -ほのぼの若冲・なごみの土牛-」山種美術館、東京(12/2-2024/2/4)
「“みかた”の多い美術館展 さわる知る 読む聞くあそぶ はなしあう 「うーん」と悩む 自分でつくる!」滋賀県立美術館(10/7- 11/19)
「THE ドラえもん展 NAGASAKI 2023」ハウステンボス美術館、長崎(7/7-10/1)
「境界をこえる こえることは、つながること」徳島県立近代美術館(4/29-6/18 *山口作品展示は5/21まで) 高橋龍太郎コレクション 「ART de チャチャチャ ―日本現代アートのDNAを探るー」WHAT MUSEUM、東京(4/28-8/27) 「親鸞画展」東本願寺(慶讃テーマ館 参拝接待ギャラリー地下1F)、京都(3/25-4/19) 「モールの創造力—ショッピングモールはユートピアだ」髙島屋史料館TOKYO、東京(3/4-8/27)
2022 -
開通60 周年記念「芸術作品に見る首都高展」O美術館、東京(12/15-21) コレクション展「風景画考2022」山梨県立美術館(12/13-2023/3/5) 「コレクション展3」高松市美術館、香川(11/16-12/25)
「THE ドラえもん展シンガポール2022」シンガポール国立博物館(11/5-2023/2/5) 「風景が物語る瀬戸内の力―自然・歴史・人の共鳴―」香川県立ミュージアム(9/23-11/6) 「みんなのまち 大阪の肖像(第2期)」大阪中之島美術館(8/6–10/2)
「わたしたちの東海道 富士山のある風景の魅力」ベルナール・ビュフェ美術館、静岡(8/5-12/18) 「東海道五十三次漫画絵巻」と歌川広重「狂歌入東海道」大川美術館、群馬(7/23-9/11)
「Common Ground: UCCA 15th Anniversary Patrons Collection Exhibition」UCCA、北京(4/16-8/14) 「平等院鳳凰堂と浄土院 その美と信仰」愛媛県美術館/静岡市美術館/新潟県立近代美術館 「ものがたりの予感」群馬県立館林美術館
「THE ドラえもん展 OKAYAMA 2021」岡山県立美術館
「特別公開桐生市寄贈記念 山口晃《ショッピングモール》」大川美術館、群馬
2021 -
「美男におわす」埼玉県立近代美術館/島根県石見美術館
「たてびレポート ―開館20周年を楽しむ展覧会―」群馬県立館林美術館
「Manga – Reading the Flow」Museum Rietberg、チューリッヒ、スイス
「川端龍子vs高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―」大田区立龍子記念館、東京
「TOKYO: ART & PHOTOGRAPHY」Ashmolean Museum、オックスフォード、イギリス
「オーライ展」ミヅマアートギャラリー、東京
「THE ドラえもん展 2021」札幌芸術の森美術館、北海道/京都市京セラ美術館/福島県立美術館 「電線絵画展—小林清親から山口晃までー」練馬区立美術館、東京
2020 -
「Connections―海を越える憧れ、日本とフランスの150年」ポーラ美術館、神奈川 「装飾をひもとく〜日本橋の建築・再発見〜」髙島屋史料館TOKYO、東京
リニューアル・オープン記念展I 「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」サントリー美術館、東京
「THE ドラえもん展 NIIGATA 2020」新潟県立万代島美術館
「桐生のアーティスト」大川美術館、群馬
2019 -
「松本竣介 街歩きの時間」大川美術館、群馬 「富士山の曼荼羅〜参詣曼荼羅にみる富士山信仰の世界〜」静岡県富士山世界遺産センター 「〈出版記念展〉春風亭一之輔×山口晃おもしろ落語入門 おかわり!」capsule、東京
「高橋コレクション展」鶴岡アートフォーラム ギャラリー1、2、山形
「THE ドラえもん展 OSAKA 2019」大阪文化館
「インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史」埼玉県立近代美術館/新潟市美術館/広島市現代美術館/国立国際 美術館、大阪
「テクニカル北斎展」伊藤忠青山アートスクエア、東京
2018 -
「めがねと旅する美術展」青森県立美術館、島根県立石見美術館、静岡県立美術館
「THE ドラえもん展 2018」高岡市美術館、富山/松坂屋美術館、名古屋 第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展「建築の民族誌」日本館、ジャルディーニ地区、イタリア
「会田誠展 Ground No Plan」青山クリスタルビル、東京
「超絶技巧の日本」ケルン日本文化会館、ドイツ
2017 -
開通55周年記念「芸術作品に見る首都高展」O美術館、東京(12/16-20)
「THE ドラえもん展 Tokyo 2017」 森アーツセンターギャラリー、東京
「アートのなぞなぞ―高橋コレクション展 共振するか反発するか?」静岡県立美術館 「藝大130周年記念・全国美術リサーチプロジェクト」東京藝術大学大学美術館
「馬の博物館開館40周年記念所蔵名品展 馬の美術150選 ―山口晃「厩圖2016」完成披露― 」馬の博物館、神奈川 「東京藝術大学創立130周年記念特別展 藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!」東京藝術大学大学美術館 「高橋コレクション・マインドフルネス 2017」山形美術館
「高橋コレクションの宇宙」熊本市現代美術館
「TARO賞20年 20人の鬼子たち」岡本太郎記念館、東京
2016 -
「発信//板橋//2016江戸−現代」板橋区立美術館
「高橋コレクションマインドフルネス!2016」高知県立美術館
「角田柳作とドナルド・キーン ―群馬から世界へ―」群馬県立土屋文明記念文学館
「Extended Remix: Contemporary Artitst Meet the Japanese Print」 ノースカロライナ大学チャペルヒル校アクランド美術館、アメリカ
「異界をひらく —百鬼夜行と現代アート」秋田県立美術館
「鉄道美術館」川崎市岡本太郎美術館、神奈川
「ぐるっと展望!現代アート入門 -高橋コレクション-」金津創作の森、福井 「〈出版記念展〉春風亭一之輔×山口晃おもしろ落語入門」capsule、東京
「宇川直宏 DOMMUNE UNIVERSITY OF THE ARTS『THE 100 JAPANESE CONTEMPORARY ARTISTS / season 4』」 山本現 代、東京
「第1期常設展『記憶と気配―2015年度新収蔵作品から―』」高松市美術館、香川
2015 -
「富士山—信仰と芸術—」山梨県立博物館
「俯瞰の世界図」広島市現代美術館
「錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧」太田記念美術館、東京
「鳥の目から世界を見る」ボーダレス・アートミュージアム NO-MA、滋賀
「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」東京オペラシティアートギャラリー
「静岡市美術館開館5周年記念 大原美術館展 名画への旅」静岡市美術館
「笑う美術」茨城県近代美術館、茨城
2014 -
「Conversations through the Asian collections」 ニューサウスウェールズ州立美術館、シドニー、オーストラリア 「秋田魁新報創刊140年・秋田県立近代美術館開館20周年 大原美術館展」秋田県立近代美術館、秋田
「日本の原風景を描く 広重の「東海道五拾三次」と現代作家たち 歌川広重、山口晃、竹﨑和征、イケムラレイコ」ベルナール・ビ ュフェ美術館 別館、静岡
「開館15周年記念 サッカー展、イメージのゆくえ。」うらわ美術館、埼玉
「マインドフルネス! 高橋コレクション展 決定版2014」名古屋市美術館、愛知
「JAPON」ABBAYE SAINT ANDRÉ Centre d’art contemporain、メマック、フランス
2013 -
「高橋コレクション マインドフルネス!」札幌芸術の森美術館、北海道
「描かれた都 開封・杭州・京都・江戸」大倉集古館、東京
「浮世絵POP 江戸~現代のポップカルチャー」静岡市東海道広重美術館、静岡
「大原美術館特別展 Ohara Contemporary」大原美術館、岡山
「六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展 LOVE展:アートにみる愛のかたち」森美術館、東京(杉本博司さんのセクション) 「ワンダフル・マイ・アート 高橋コレクションの作家たち」河口湖美術館、山梨
「水彩画 みづゑの魅力―明治から現代まで―」平塚市美術館、神奈川
2012 「ジパング展ー沸騰する日本の現代アート」新潟県立万代島美術館、新潟/高崎市美術館、群馬/八戸市美術館、青森/秋田 県立近代美術館、秋田に巡回
「Reinventing Tokyo: Japan's Largest City in th Artistic Imagination」 アマースト大学ミード美術館、アメリカ
「大原美術館展 モネ、ルノワール、モディリアーニから草間彌生まで。」北海道立近代美術館、北海道
「Double Vision: Contemporary Art from Japan」モスクワ市近代美術館、モスクワ、ロシア、ハイファ博物館群(Haifa
Museum of Art, Tikotin Museum of Japanese Art)、イスラエルに巡回
2011 -
「コビケンは生きている。-高橋コレクションより-」 TABLOID GALLERY、東京
「Edo Pop: the Graphic Impact of Japanese Prints」ミネアポリス美術館、ミネアポリス、アメリカ
「TARO LOVE展 岡本太郎と14人の遺伝子」西武渋谷、東京
「JARAPAGOS展」三菱地所アルティアム、福岡
「CAFE in Mito 2011― かかわりの色いろ」水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城
「Japan: a tradition of innovation」カナダ国立文明美術館、オタワ、カナダ 「ジパングー31人の気鋭作家が切り拓く、現代日本のアートシーン。」日本橋高島屋8階ホール、東京 「会館20周年記念展 画家たちの二十歳の原点」平塚市美術館、神奈川/下関市美術館、山口 他2会場へ巡回 高橋コレクション日の出 オープニング展覧会「リクエストトップ30―過去10年間の歩み」TABLOIDGALLERY、東京 「バイバイキティ」ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク、アメリカ
2010 -
TDW-ART「ジャラパゴス展」TOKYO DESIGNDERS WEEK 2010、東京
「物語の絵画」新潟県万代島美術館、新潟
「BASARA展」スパイラルガーデン、東京 「ロボットと美術ー機械と身体のビジュアルイメージ」青森県立美術館、青森/静岡県立美術館、静岡/島根県立石見美術 館、島根
第17回シドニービエンナーレ「THE BEAUTY OF DISTANCE: Songs of Survival in a Precarious Age」 オーストラリア 「親鸞聖人750回忌記念企画親鸞展」日本橋三越本店新館7階ギャラリー /東京、他26会場に巡回

受賞

2013 -『ヘンな日本美術史』(祥伝社)にて第12回小林秀雄賞
2001 - 第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞
2017 - 桐生市初の藝術大使に就任

収蔵

大原美術館、岡山
滋賀県立近代美術館、滋賀
森美術館、東京
アサヒビール大山崎山荘美術館、京都
ベルナール・ビュフェ美術館、静岡
高松市美術館、香川
馬の博物館、神奈川
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館、シドニー、オーストラリア
ミード美術館、アマースト、アメリカ
国際交流基金、東京
群馬県立館林美術館
チェスター・ビーティ図書館、ダブリン、アイルランド
メトロポリタン美術館、ニューヨーク、アメリカ
アーティゾン美術館、東京
山種美術館、東京
大川美術館、群馬

山口晃の書籍