Fossil of Perspective
写真を現実的に撮って再現する撮影行為はそれほど難しくないが、人の考えや感情を写真で表現するのはそれほど簡単なことではない。写真家は対象を眺めながら「なぜ」見るのかを考え「どのように」見せるかを判断して、自身の主張を写真に表わすことができなければならない。また、結果として提示される写真の表現効果は、トーンと色味で完成度を高めなければならない。写真はそれ自体が芸術形式ではないが、平凡な対象を新しい概念とメッセージを含んだ芸術作品に変える魅力的な能力を持っている。私が接する数多くの光景の中には、それほど素敵でも衝撃的でもないのに、なぜか妙な気分に惹かれる瞬間が存在する。そのような状況は私の精神的、心理的状態によって多様な周波数で脳裏を刺激するが、その中で感性的コードでテレパシーが通じる対象が私にとってフォトジェニックな素材になる。私の写真で「関心と解釈」というキーワードは非常に重要な単語であり、写真を撮るということは自分だけの感性で物事の感じを再認識する作業と言える。私は世の中をフレームの中に入れて捨てる作業の繰り返しを通じて多様で新しい視覚的経験をすることになるが、イメージの単純化は写真表現の想像力を増幅させると思う。Camera-eye(カメラアイ)は世の中を眺める観点であり、アイデンティティで、純粋で暖かい魂は純粋で暖かい視覚を見せてくれるというのが私の写真に対する見解だ。
『Fossil of Perspective』は、私が40年間にわたり制作した20のシリーズの中から8つを選び、100点の写真で構成し、「主観的視覚と叙情的感性」という私の写真美学を見せてくれる写真集だ。
1980〜90年代の日本留学生活の中で感じた日本の情をテーマに制作した「和」。1988年のソウルオリンピックをきっかけに新しく変化した漢江の姿を再発見する「漢江1988」。長崎の人工炭鉱島として造成された「軍艦島」が廃鉱で人々が消え無人島になって話題になった「GUNKANJIMA」。1990年に世界的に注目されたドイツ統一とベルリンの壁崩壊に対する関心でスイスを訪問し、ヨーロッパの感性を表現した「ヨーロッパ-BREAKING SILENCE」。2001〜03年にアフリカとヨーロッパセミナーへの参加をきっかけに、南アフリカ共和国、ケニア、モロッコで制作した「アフリカ-END OF SKY、END OF LAND」。2006〜20年アメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国の日常をスケッチした「WITH THE WIND」。2000〜02年まで異邦人として日本に対する再発見をテーマに日本らしさを表現した「JAPANESQUE」など。
― ジョン·ミョンオ
$58.44
税込- 判型
- 267 × 275 mm
- 頁数
- 180頁、掲載作品100点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2024
- 言語
- 英語、韓国語