はじめて あった
事件といっても過言ではないような、大きな物議を醸した衝撃作「そこにすわろうとおもう」から10年。静かに沈黙を破る、大橋仁の新作がついに完成。
大橋にとって写真を撮ることとはそうせざるを得ない行為であり、自分の命が反応してしまったものを、命が命じるままに記録したものが写真であるという。脳細胞を直接刺激する何かへの反応。射精のようでただ気持ちがよいわけではない、排泄のようでそれほど簡単ではない、やらざるを得ない、出さざるを得ない、人間の本能や命の深いところと関わっている、生きることの副産物として生まれるもの。人ははじめての人生を生きている。そして、人生とは「はじめて」との出会いを繰り返している行為ともいえる。
母の死
昆虫の視線でパンティを透かして見た
生命の旋律
肉として生きるとは、人とは。
本書は大橋にとっての自分の中の「はじめて」との出会いの記録である。目の前に「はじめて」「あった」ものが写真になる。それは処女作「目のまえのつづき」から変わらないスタンスといえるだろう。本書に収められた写真をどう捉えるか、それは見る者に委ねられている。先入観を捨てて、大橋の命ともいうべき写真群を眺める時、そこには見る者にとっての「はじめて」が「ある」。
― 出版社説明文より
- 判型
- 253 × 283 mm
- 頁数
- 240頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- 言語
- 英語、日本語
- ISBN
- 978-4-86152-911-5