鎌鼬 新装普及版
写真家・細江英公と舞踏の創始者・土方巽との濃密なコラボレーションにより誕生した名作『鎌鼬』。巣鴨とげぬき地蔵、葛飾界隈、そして秋田の伝統的な農村風景を舞台に、土方巽はパフォーマンスを鮮烈に繰り広げた。人々との遭遇によって生じる波紋、そして疾走する土方巽の魂と肉体に共振しながら、風土への官能、生と死のオルガズムを深めていく細江の眼差し。ここに、日本の原風景と記憶はモノクロームで焼き付けられた。
細江英公は半世紀余にわたり、自己の内面的な意識を写真として表現することを探求し続け、独自の映像美学は国際的な評価を得ている。安保闘争に揺れる1960年に発表した『おとこと女』では肉体を裸形のオブジェにまで開放し、二つの性の拮抗するドラマを鮮烈なコントラストで描出。このとき被写体のうちの一人が土方巽だった。さらに1963年、三島由紀夫を被写体としてバロック的な耽美空間を構築した『薔薇刑』を発表。そして再び土方巽とのコラボレーションが結実し、不朽の名作『鎌鼬』を生んだ。
原本『鎌鼬』は1969年に現代思潮社より出版された。2005年には完全復刻版(青幻舎/500部限定)が刊行された。本書は、さらに8点の未発表作品を選び出し、ここに追加した。
― 出版社説明文より
- 判型
- 330 x 250 mm
- 頁数
- 112頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2018、第2刷
- 言語
- 英語、日本語