角の煙草屋までの旅
持病を悪化させ、近所の病院で入院生活を余儀なくされた須田が撮った半径数百メートル内の風景。1980年に『カメラ毎日』で連載されたシリーズをまとめたもの。たった数百メートルほど離れた煙草屋までの道のりでも、ひとつの旅になる、という須田の視点をもとに編まれた本書は、須田作品の根幹を示す隠れた名作である。
「現在、私の旅は自らのイメージの源泉へと行き先を変えた。相変わらず日常という被写体に変わりはないが、その茫漠たる存在は近づけば近づくほど揺れ動き、想像の扉が次々と出現する。それらの発見が、私の日常を限界から解き放つのではないかと考えている。角の煙草屋へはもう再びもどることができない。ずいぶん遠くまで歩いてしまったのだと、今更ながら来た道を振り返る想いがする。」
― 須田一政
- 判型
- 210 x 290 mm
- 頁数
- 102頁
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2011